【ワシントン報告】米国に来て思うのは、日米の政権の姿があまりに似ているということ。トランプ政権はロシア政府による米大統領選干渉疑惑を巡る混乱が続く中、メディア批判を展開する。日本では、安倍晋三首相の「加計学園」問題の疑惑が晴れないまま、「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ組織犯罪処罰法改正案の国会審議が本格化していく。どちらも政権トップの「介入疑惑」が取り沙汰される中、熱狂的な支持者の声のみを聞く政治が行われているようだ。
トランプ大統領がパリ協定離脱を表明した直後の週末。同じ日に開かれた二つの集会に出掛けてみた。
ホワイトハウス前には、大統領を支持する人々が集まり「公約は守られるべき」などと書いたプラカードを掲げていた。大学生のロスさん(21)は「メディアは大統領に対しヘイトの報道ばかりしている。大統領は米国のための正しい決断をしてくれた」と話した。
もう一つの集会のあるナショナル・モールの芝生には、人種、世代、服装もさまざまな人々が明るい雰囲気の中、風刺を交えた思い思いのプラカードを持ち、パリ協定離脱への批判をはじめロシア疑惑の解明を求め、民主主義、自由、正義、平等、透明性を訴えた。
ベビーカーを押しながら孫2人と娘と共に参加したシェリルさん(64)は「子や孫たちのために来た。今の政権は正しい方向に向かっているとは思えない。大統領には、あなたと違う考えにも耳を傾け、きちんと聞いた上で物事を決めてほしいと伝えたい」と語ってくれた。
照り付ける日差しの下、集まった人々の姿を見ながら、米軍基地の負担軽減を訴え、幾度も開催された沖縄県民大会の様子を重ねた。そして、戦争体験者の方々が語ってくれた「孫の世代に同じような苦しみを残したくない」という言葉がぐるぐる回った。
歴史に学び、未来を開くのは、今を生きる私たち。国境を越え、市民の間にはそんな思いが共通している気がする。(座波幸代本紙特派員)