撤去された「中国人のみ2万円」の看板
沖縄県宮古島市のビーチで、レジャー用品の貸し出し業者がパラソルセットの料金を中国人は10倍高くするとの看板を設置していたことが2日、分かった。看板を見た人から市に「差別ではないか」などと苦情が寄せられていた。
業者は取材に対し「中国人観光客が1人用の椅子に5人座り、壊れたことがある。単に椅子が壊れるから貸したくないだけ。差別ではない」と話した。その上で「今後は対応を考える」として看板を撤去した。
日本人向けの看板にはレンタル料金は2千円と記されている。一方、撤去された看板には「中国人のみ2万円」と書かれていた。
業者は14年前から店を営業している。看板は7月中旬から設置した。業者は「中国人観光客はマナーが悪い。数年間我慢してきたが、今年は貸したくないから値段を10倍にした」と話した。
海浜は海岸法に基づき、県が管理している。市内各地の海浜ではマリンレジャー業者の出店が相次ぎ、市にはトラブルが多数報告されている。このため市は県に対し営業の許可制度を設けることを要請。県は海浜の管理を市へ移管する方針だ。
宮古島観光協会は「観光産業が伸びつつある中、こういった看板があると観光地としてのイメージが悪くなる。県と市は速やかに協議し条例を作って、管理をきちんとしてほしい」と話した。
沖縄人権協会は「沖縄全体で観光誘客に取り組む中、非常に残念な対応だ。人権問題以前におもてなしの心に欠ける。地域でマナーを学ぶ機会を設けるのも手だ」とコメントした。
北海道小樽市では2002年に、入浴施設で外国人を理由に入浴を拒否されたのは人種差別撤廃条約違反だとして、道内在住の外国人らが入浴施設を運営する会社と小樽市に損害賠償を求める訴訟があった。札幌地裁は会社側に300万円の支払いを命じる判決を出した事例がある。