休業の張り紙に寄せられたメッセージを見てほほ笑む城間幸市さん=22日、那覇市宇栄原の城間和洋菓子店
「しろまのおじさん、待ってるよ」「おじさんのケーキが食べたい」―。沖縄県那覇市宇栄原の「城間和洋菓子店」の休業を知らせる張り紙が、再開を待ち望む常連客のメッセージでいっぱいになり、21日に店は再開。話題を呼んでいる。店主の城間幸市さん(77)は「これを見たから」とメッセージを見つめて、予定より早めに再開したことを打ち明けた。
城間和洋菓子店は創業42年。那覇市役所小禄支所の向かいに店を構える。大きなイチゴが乗ったショートケーキ、生クリームたっぷりのバナナボート。どこか懐かしい品ぞろえは創業以来ほとんど変わらない。
休業の理由は椎間板ヘルニア。5月からお店を休んで療養に入っていた。「しばらくの間お休みします」という休業を知らせる張り紙はいつの間にかメッセージでいっぱいに。SNS(会員制交流サイト)でも広がり、多くの人が城間さんの復帰を望み、心を寄せていた。
書き込みに気付いた城間さんは「最初はいたずらかな、と思ったけど、よく見たらメッセージになっているから驚いた」と、頬を緩めた。当初は8月末まで休む予定だったが「メッセージがあったから、ちょっと早いけど」と、予定より早く店を開けた。まだ本調子ではないため、娘のゆかりさんと一緒に休憩を取りながら続けている。
夕暮れ時、店内は塾帰りの中学生であふれた。小6から常連という小禄中3年の赤嶺正龍さん(15)は「またあの味が食べられてうれしい。店が開いてから3日連続できている」とオムレットをほおばった。砂川瑛倫さん(14)は「もう食べられないのかと思っていた。ショコラがとってもおいしい」と笑顔。「張り紙にメッセージを書こうと思って来た」という女性は「開いていたからびっくり」。うれしそうに、ケーキを二つ買った。
城間さんは地域からの熱烈な要望に「でももう年取ったからねぇ」と腰に手を当てながらも「あと2〜3年は続けたい」と笑顔で応えた。
(田吹遥子)