「最後まで聴かないとチンダミするよ!」と語る護得久栄昇=那覇市の琉球新報社
ロシアの帽子のような頭に渋みを効かせた表情、「チャメ!」という決めぜりふで注目を集める演芸集団FEC所属の大物民謡歌手キャラクターの護得久栄昇。今回初のアルバム「護得久栄昇大全」(Pヴァイン・レコード)が18日に全国リリースされた。沖縄県内のテレビCMやラジオ、テレビ番組などに出演しているが、新アルバムをきっかけに全国デビューを果たした。人気沸騰中の護得久が、全国デビューしたことやアルバムについて思いを語った。
護得久は「1952年生まれで那覇市首里出身」という設定。「護得久流民謡研究所会長」として活動し、民謡歌手の前川守賢とはこの世界で「40年ぐらいの付き合い」と話す。
アルバムは、護得久が独演会をする形で収録され、開幕と閉幕にはフリーアナウンサーの崎山律子が司会役として出演する。よなは徹がサウンドプロデュースを務め、新譜のタイトルの文字は書家の豊平峰雲が提供した。護得久は「本人以外すべて本物。護得久が知らないうちに曲が作られ、いつの間にかアルバムができたんだよ」と語る。
「当初自分たちでアルバムを作っていたら、Pヴァイン・レコードさんから『うちから出しませんか?』とオファーが来た」という。シングル配信した「愛(かな)さ栄昇節」と「汝ぐとーるむんが」「たーがしーじゃか」の3曲が音楽ダウンロードサイト「沖縄ちゅらサウンズ」でランキング1位を獲得したことで、レコード会社の目を引き、全国発売が実現した。
県外では新曲「れもんけーき節」の評判が高いという。お盆や清明祭など沖縄の供え物の定番であるレモンケーキについて歌っている。「県外から来た観光客が沖縄のラジオで『れもんけーき節』を聴いて、私のファンになったという人もいた。その人は県外のライブにも見に来てくれた」と表情が緩んだ。
そのほか、「護得久栄昇ブルース」や「護得久音頭」などジャンルを超えた作品が詰まっている。護得久は「最後の曲の終了後58.9(ごえく)秒後に音が流れるが、それを逆再生すると私の言葉が入っている。最後まで聴かないとチンダミするよ!」と渋い顔で訴えた。全13曲。税込み2700円。(金城実倫)