【動画10】認知症の母とお花見—借りた金は返す編
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私が、母と一緒に出かけるということは、映画にとってどういう意味なのか。撮影をする絶好のチャンスである!
しかし、撮影するということは、私は母と一緒にいるようで、実は、一緒ではないということにもなる。そんなことを知ってか、知らずか、母は、いつもここ、かしこで撮影をしている私を残し、トコトコと先に歩いて行ってしまう。
母をフレームの中に、と思うと母は、見当たらなかったり、ずうっと先にいたりして、あっちゃ〜と思うことが多い。
監督の言うこと、思惑をすべて無視する被写体、それが、我が母なんである!例によってそんな母を追いながら、ファインダーを覗くと、あれっ?と思った。
母は、肝心な桜にほとんど興味を示していない!!
母が、近所の日本庭園で興味を示した対象は、池の中で泳ぐ大きな鯉、お嫁さん、そして串団子だった・・・
ま、別に桜でなくてもいいか。とにかく一緒に外に出かけられてよかった!
桜をあまり見ないお花見は、一緒に串団子を食べることで、ようやく母との共有感が生まれた。が、私が、お茶を取りに行っている間の母の行動は、本当にスゴかった!
お茶を取りに行く時、私は、とっさにテーブルの上にカメラを置き、撮影しっ放しにしてみた。ナント!カメラは、母が、こっそり自分の財布から最後の千円札を抜き出し、テーブルの上に置くところを捉えたのである!!
母もカメラもお見事!
監督の私は、今日もそして、いつも自分の想定を見事に裏切る被写体(母)と彼女の行動力に驚かされる。
う〜ん、ひょっとして、これってスゴイ映画になるってことじゃないの〜と密かに一人、考える。映画制作中にこんなことを思うなんて、初めての経験であることは確かだ・・・
ドキュメンタリー映像作家 関口祐加 最新作 『此岸 彼岸』一覧