第44話 親子の相性
11歳の息子には、すでに<理想の親子関係像>が、ある。これを聞かされたのは、シドニーにいる頃だから、少なくとも1〜2年前だと記憶している。
息子曰く、磁石のNとSの関係なのである!
へ〜え、上手いこと、言うなあ。
しかし、息子のたとえ話しを聞くと、ああ、やっぱり、小学生だったか、と思う。
「ホラ、お母さんの手が、温かい時って、必ず、ボクの手が、冷たいじゃん。で、ボクの手が、温かい時は、なぜか、いつもお母さんの手が、冷たい。」
つまり、親子の相性のことを言いたいらしい。私と息子は、補い合える関係、とでも言いたいのか。
確かに。
息子は、私が、全身全霊で、理解できる人間だ。息子は、息子でそんな母親との関係を心地よく思っているらしい。
我ら親子の絆は、とても深い。だからたとえ離れていても、心は、バッチリ通じ合っている、という自信が、私にはある。
ちなみに息子は、父親とは、いつも同じ、自分の手が、冷たい時は、父親も冷たく、自分の手が、温かい時は、父親の手も温かいらしい。そして、そのことを父親は、とても喜んでいる、と教えてくれた。
「でもさ、それって、磁石で言うとNとNの関係だと思うんだよね〜。」
11歳は、11歳なりに考えているのである。
そんな風に考えてみれば、母と妹は、まさしくNとNの反発し合う関係であり、その事をお互いに認識しつつも、お互い乗り越えられずに、今日(こんにち)に至ってしまっている。
私と母の関係は、どうだろうか。
NとNでもなく、かと言ってNとSの関係でもない・・・いや、なかった、と言った方が正しい。
なぜなら、アルツハイマー病発症後の母と私の関係は、限りなくNとSの関係に近づいていると思うからー。
ただ、本人の認識は、「私は、子供には、恵まれなかった。2人の子供に喰いものにされ続けた。」と言い切っていて、それもしかと撮影しましたよ〜^^;;
2011.2.12 (土)更新予定!<動画43:アルツハイマー病の母が、行かなかったピアノ・コンサート>