今年3月にリリースされたアルバム『この地球(HOSHI)に生まれて』の中にも収録された、森繁久彌さんの名曲『知床旅情』。森繁さんは、成底がこの曲を歌うことを快諾してくださり、ふるさとに捧げた『美ら島』と2曲を結ぶ直筆のメッセージをくださったそうです。そんな森繁さんとの思い出が成底さんから、このように語られました…。

[E:note]最近出会ってすごく感動した方、影響を受けた方はいますか?
成底 おふた方いらっしゃいまして、まずは、やはり森繁久彌さん。森繁さんが最後の作品として出されたDVDの挿入歌として参加させていただいたご縁だけで、本当に駆け出しの新人である私を応援してくださいました。
[E:note]森繁さんにお会いした印象は?
成底 それがですね、カメラが回っていないときは、普通にお茶を飲んでいたりお菓子を食べていたり、本当にふつうの優しいお爺ちゃんという感じなのですね(笑)。でも、フラッシュが発たれた瞬間に、キリッと森繁久彌さんの俳優のお顔になられるのです。それはすごくすばらしいというか勉強になるというか、これが森繁久彌だ、プロだ、と思いました。全体的に、オーラがガラッと変わりましたから、森繁久彌ここにあり!という感じでしたね。
[E:note]もうおひと方は?
成底 これは最近なのですけど、6月27日、28日にJTB主催のイベントでお世話になりました沖縄の演出家であります平田大一さんという方です。私の高校の先輩でもあるのですが、平田さんには、今回はすごく良い経験をさせていただきました。その舞台は、八重山の子供劇団〈オヤケアカハチ〉を主に、八重山の伝統舞踊が入るというミュージカル仕立ての物語で。ストーリーは主人公男の子3人がそれぞれの家庭の事情がある中で自分の夢に向かって成長していく、現代版のスタンドバイミーのようなものですね。
[E:note]平田さんのどのようなところに影響を受けたのでしょうか。
成底 何よりも、平田さんの子供たちに対する情熱、子供たちの才能というものを、一人ひとりよく見ていらっしゃるのですよ。私が思っていた舞台というのは、演出家がすべて指示するものだったのですけど、平田さんは、子供たち一人ひとりの意見を聞いて、それをまとめて、こういうのもあるよ、いや、こういうのもあるよ、と絶対NOがないのです。だから、子供たちが本当にイキイキしている。私たち大人から見ても、すごく忘れていた情熱とか、私もこんなふうに純粋なときがあったんだなぁ、っていうのを肌で感じられました。そういうパワーを引き出してくれている平田大一さんという演出家の方は本当にすばらしくて。私が歌をやっていく中で、こういう人たちの刺激がすごく大事ことだと思いました。勉強になりましたね。
[E:note]成底さんはその舞台にどのような関わりで参加されたのですか?
成底 劇中の主題歌などは『ディアマンテス』のアルベルト城間さんが全部書き下ろしていらっしゃるのですが、私はその舞台の中で、自分の『この地球に生まれて』と『ふるさとからの声』を挿入歌として使っていただきました。物語の中で、主人公の男の子のお兄ちゃんが、一人東京で頑張っていたけれども夢に破れてしまい、島に帰りたいんだけど帰れない…。そこに私の『ふるさとからの声』が始まる、という流でしたね。031_2
[E:note]『ふるさとからの声』の歌詞そのままのストーリーですよね。私はあの歌を聴いている と涙が出てきますよ。
成底 私の曲をそのまま劇中で使っていただき、成底ゆう子役が出てくるのですよ。現在の成底と、夢を追いかけている成底と両方。過去と未来が同時に舞台で繰り広げられるのです。
[E:note]自分の過去と現在が舞台で繰り広げられているのをどんな気持ちでご覧になっていたのですか?
成底 私、歌うことで必死だったのであまり覚えていないんですよ(笑)!! あとでDVDとかで見る機会があったら、客観的に見てみたいですね。
(続きは次回へ)

撮影/徐 美姫

[E:note]成底ゆう子オフィシャルHP
http://www.dictorland.com/narisoko/

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