マレフィセント
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暑かった8月も終わり、秋の声が聞こえてきた。遠く離れたハリウッドでも、真夏の映画商戦に決着が着いたようだ。
今年の夏に限ったことではないが、やはりアメコミ原作の強さが目立った。9月1日までの累計興行収入ランキングにおける1位は2億8千万ドルの『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』。トランスフォーマーシリーズ最新作『トランスフォーマー/ロストエイジ』が2億4400万ドル、下馬評を覆して大入りとなった『マレフィセント』が2億3870万ドルでこれに続く。上位10作品中4本がアメコミ原作、有名作品のリブートが3本を占めた。
そしてThe Hollywood Reporterは俳優別の勝者と敗者を挙げている。まずは勝者から見ていこう。
・アンジェリーナ・ジョリー
キャリアの長いボックスオフィス研究家でさえ予想できなかった『マレフィセント』の大躍進で、ジョリーはこの夏のハリウッド・クイーンとなった。
・チャニング・テイタム
ジョナ・ヒルと共演したアクションコメディ『22ジャンプストリート』が大ヒット。日本ではDVDスルーされた『21ジャンプストリート』の続編で、1億9030万ドルを稼ぎ出した。その肉体美で女性ファンを数多く動員し、全世界の興行収入は3億ドルを超えている。
・シェイリーン・ウッドリー
がんに冒された少女を演じた『さよならを待つふたりのために』が世界中で2億8020万ドルの興行収入を記録。YA(ヤングアダルト)小説が原作ではあるものの、世代を超えた観客を動員し、ウッドリーはコストパフォーマンスの高い女優であることを証明した。
・ザック・エフロン
薬物のリハビリから完全復活し、セス・ローゲンと共演したコメディ『Neighbors』が大ヒット。1800万ドルの製作費に対し、全世界で2億6660万ドルを稼ぎ出した。この作品で”顔だけのアイドル俳優”として見られがちだったエフロンは、実力派のコメディ俳優としての大きな第一歩を踏み出した。
ここからは残念な結果を残してしまった敗者たち。
・トム・クルーズ
日本のSFライトノベルを原作とした『オール・ユー・ニード・イズ・キル』が、全世界では3億6400万ドルの興行収入を上げたが、製作費は1億7800万ドル、さらにグローバルマーケティング費用として1億5000万ドルが費やされており、最終的な赤字はほぼ決定的だ。
・アダム・サンドラー
『ウェディング・シンガー』『50回目のファーストキス』をヒットに導いたドリュー・バリモアとのタッグで挑んだ『Blended』が惨敗。製作費4000万ドル、宣伝費1億ドルをかけたが、興行収入は1億2350万ドルにとどまった。コメディアンの長者番付では常連のサンドラーだが、ここ数年の主演作は軒並み失敗している印象だ。
・ジェイソン・シーゲル
人気テレビシリーズ『ママと恋に落ちるまで』のマーシャル役で知られるシーゲルだが、映画界では苦戦を強いられているようだ。キャメロン・ディアスの主演作『The Other Woman』が女性人気を得て2億ドルに迫る興行収入を上げたのに対し、同じくディアス主演でシーゲルが共演した『Sex Tape』は7690万ドル。
・シルヴェスター・スタローン
『エクスペンダブルズ3 ワールドミッション』のオープニング興収には誰もが度肝を抜かれたはずだ。アーノルド・シュワルツェネッガー、ハリソン・フォード、メル・ギブソン、ジェット・リーら往年のアクション名優を総動員したにもかかわらず、シリーズ最低の1590万ドルしか稼げなかったのだ。これは、公開直前に海賊版が出回ったことが要因と見られている。