ザ・ビートルズ
《オン・エア – ライヴ・アット・ザ・BBC Vol.2 》
ジョン、ポール、ジョージ、リンゴが電波を揺るがす
1963年〜64年にBBCでオンエアされたビートルズのパフォーマンスから、40曲を収録した新作2枚組CDとアナログ盤が登場
1994年にリリースされたザ・ビートルズの《ライヴ・アット・ザ・BBC》は世界的に喝采を浴び、イギリスでナンバー1、アメリカでも最高位3位を記録、6週間で500万枚以上を売り上げた。このBBCパフォーマンス集の続編《オン・エア – ライヴ ・アット・ザ・BBC Vol.2 》が、48ページのブックレット付き2枚組CD、および180gアナログ盤で11月11日(北米では11月12日)にリリースされる。《オン・エア》に収録の63トラックには、前作の《ライヴ・アット・ザ・BBC》とのダブりがいっさいなく、未発表のパフォーマンスが37トラック、そしてスタジオでの雑談や、メンバーとBBCの司会者たちとの会話を収めた未発表のレコーディングが23トラック含まれている。
英国放送協会(BBC)のスタジオで、ビートルズはさまざまなラジオ番組用に音楽をプレイした。《ON AIR – LIVE AT THE BBC VOLUME 2》には、全国に向けてプレイするチャン スを掴んだ時期のビートルズのサウンドが捉えられている。こうしたエキサイティングなレコーディングを聴き直したポールは、感激の面持ちでこう語った。「エネルギーとスピリットがたっぷりある。ぼくらはなんの手加減もせず、一世一代のパフォーマンスをやってやろうと、懸命に頑張っている」
《オン・エア》収録曲のうち10曲は一度もグループが60年代にEMIでレコーディングすることのなかった曲で、うち2曲 ——生放送で披露されたチャック・ベリーの〈I’m Talking About You〉と、スタンダード〈Beautiful Dreamer〉のロック・ヴァージョンは、リリースされるのも今回がはじめてだ。《オン・エア》にはまた、1994年の《ライヴ・アット・ザ・BBC》で聞けたレア曲6曲の別ヴァージョンも収録されている——リトル・リチャードの〈ルシール〉、チャック・ベリーの〈メンフィス、テネシー〉、チャン・ロメオの〈ザ・ヒッピー・ヒッピー・シェイク〉、レイ・チャールズの〈アイ・ゴット・ア・ウーマン〉、そして彼らがカール・パーキンスのレコードで覚えた2曲、〈グラッド・オール・オーヴァー〉と〈シュアー・トゥ・フォール〉である。
60年代初頭のBBCを代表するポップ番組にビートルズが贈った曲——〈Happy Birthday, Dear Saturday Club〉も、やはりサプライズのひとつだろう。ジョン・レノンが1980年にふり返っているように、「『Saturday Club』じゃ、レコードになってない曲をたくさんやったよ——録音 も悪くなかった」。ポールはこう回想する。「BBCのラジオ番組で育った人間にとって、1週間の大きなお楽しみのひとつが『Saturday Club』だった。ぼくら好みの音楽をかけてくれるすばらしい番 組で、ほんとうにあこがれていた」
1962年3月から1965年6月までのあいだに、イギリスのBBCはのべ275曲にもおよぶビートルズのパフォーマンスをオンエアしている。1963年だけでも、グループは39のラジオ番組で演奏を披露した。リンゴ・スターは1994年にこう語っている。「ついつい忘れてしまいがちだけど、ぼくらは現役のバンドだった。肝心なのはあのモノラル・サウンドだ。たいていはオーヴァーダビングなんていっさいなし。カウントがはじまると、もうやり直しはきかなかった。聴いてると、ほんとにワクワクする」BBCでもっとも忙しかった1日、1963年7月16日に、ビートルズは「Pop Go The Beatles」 シリーズ用の曲を、7時間足らずのうちに、3回分、全部で18曲レコーディングした。
グループはBBCのセッションで88の異なる曲を演奏し、その中には何度も録音された曲もあれば、一度しか演奏されなかった曲もあった。当時のイギリスでは、昼間のラジオ放送をすべてBBCの持つ3つの全国放送局がまかなっていた。たまにでもレコードがかかるのは、ライト・プログラムのネットワークだけ。放送される音楽は、大半が実際に演奏されていた。おのずとビートルズも、自分たちのリリースをプロモーションしようと思ったら、BBCで実際にプレイする以外になかった。「全部が即席だった」とジョージ・ハリスンはふり返っている。「でもぼくらはその前にまず、おんぼろのヴァンでM1道路を200マイル南下し、ロンドンに入るとBBCを探しまわり、セッティングをすませてから、ようやく番組にとりかかっていた。で、なんと !それが終わったらまた、夜のライヴがあるニューキャッスルにもどったりしてたんだ!」
《オン・エア》にはほかに、ビートルズのカタログから、5曲のナンバー1や〈アイ・ソー・ハー・スタンディング・ゼア〉〈ツイスト・アンド・シャウト〉〈ドゥ・ユー・ウォント・トゥ・ノウ・ア・シークレット〉〈ボーイズ〉〈プリーズ・ミスター・ポストマン〉〈マネー〉〈アンド・アイ・ラヴ・ハー〉〈恋におちたら〉といった人気曲を含む、広く愛されている名曲のBBCヴァージョンが30曲フィーチャーされている。
評論家筋からも高い評価を得た前作と同様、《オン・エア – ライヴ・アット・ザ・BBC Vol.2 》にも、DJのブライアン・マシューとアラン・フリーマン、そして「Pop Goes The Beatles」の司会を務めるリー・ピーターズ、ロドニー・バークと話すビートルズの音声が収録されている。はじめて放送されたとき、ポップ・ファンは、どちらかというとお堅いBBCでかくもウィットに富む型破りなやりとりが聞けたことに驚嘆したが、その抜粋は、今聴いても大いに楽しめるものだ。加えてこの《オン・エア》では、「Pop Profile」シリーズ用に、1965年11月 と1966年5月に録音された本音満載のインタヴューが初公開されている。
11月11日(北米では11月12日)に再発される《ライヴ・アット・ザ・BBC》の第1弾も、新たにリマスターされたおかげで、音質も外見もこれまで以上に向上した。このBBCセッション集には、ヒット曲の別ヴァージョンのほかに、ビートルズがラジオで演奏し、だが60年代にはレコード化しなかったお宝が30曲収録されている。なんとも魅力的な曲目は、あまり知られていないレノン=マッカートニーのオリジナル〈アイル・ビー・オン・マイ・ウェイ〉の珍しいパフォーマンスから、ロックンロールのクラシック、そして当時としては最新のリズム&ブルース・ナンバーまで多岐におよぶ。初リリース時、《ライヴ!!アット・ザ・BBC》は「ローリングストーン」誌に「独自の声とヴィジョンを形成しつつあったバンドの爽快なポートレイト!」と絶賛され、グラミー賞の最優秀歴史的アルバム部門にノミネートされた。
1994年の《ライヴ・アット・ザ・BBC》はジョージ・マーティンによってまとめられ、《オン・エア – ライヴ・アット・ザ・BBC Vol.2 》はプロデューサーのケヴィン・ハ ウレットとマイク・ヒートリーによってリサーチ、編纂された。どちらのアルバムもエンジニアのガイ・マッセイとアレックス・ウォートンが、細心の注意を払いながら、アビイ・ロード・スタジオでマスタリングした。またどちらのブックレットにも、ビートルズのBBCラジオ・セッションの歴史を追ったケヴィン・ハウレットのエッセイと、全曲の詳細な解説が掲載されている。
The Beatles: On Air – Live at the BBC Volume 2
CD ONE
1. And Here We Are Again (Speech)
2. WORDS OF LOVE
3. How About It, Gorgeous? (Speech)
4. DO YOU WANT TO KNOW A SECRET
5. LUCILLE
6. Hey, Paul… (Speech)
7. ANNA (GO TO HIM)
8. Hello! (Speech)
9. PLEASE PLEASE ME
10. MISERY
11. I’M TALKING ABOUT YOU
12. A Real Treat (Speech)
13. BOYS
14. Absolutely Fab (Speech)
15. CHAINS
16. ASK ME WHY
17. TILL THERE WAS YOU
18. LEND ME YOUR COMB
19. Lower 5E (Speech)
20. THE HIPPY HIPPY SHAKE
21. ROLL OVER BEETHOVEN
22. THERE’S A PLACE
23. Bumper Bundle (Speech)
24. P.S. I LOVE YOU
25. PLEASE MISTER POSTMAN
26. BEAUTIFUL DREAMER
27. DEVIL IN HER HEART
28. The 49 Weeks (Speech)
29. SURE TO FALL (IN LOVE WITH YOU)
30. Never Mind, Eh? (Speech)
31. TWIST AND SHOUT
32. Bye, Bye (speech)
33. John – Pop Profile (Speech)
34. George – Pop Profile (Speech)
CD TWO
1. I SAW HER STANDING THERE
2. GLAD ALL OVER
3. Lift Lid Again (Speech)
4. I’LL GET YOU
5. SHE LOVES YOU
6. MEMPHIS, TENNESSEE
7. HAPPY BIRTHDAY DEAR SATURDAY CLUB
8. Now Hush, Hush (Speech)
9. FROM ME TO YOU
10. MONEY (THAT’S WHAT I WANT)
11. I WANT TO HOLD YOUR HAND
12. Brian Bathtubes (Speech)
13. THIS BOY
14. If I Wasn’t In America (Speech)
15. I GOT A WOMAN
16. LONG TALL SALLY
17. IF I FELL
18. A Hard Job Writing Them (Speech)
19. AND I LOVE HER
20. Oh, Can’t We? Yes We Can (Speech)
21. YOU CAN’T DO THAT
22. HONEY DON’T
23. I’LL FOLLOW THE SUN
24. Green With Black Shutters (Speech)
25. KANSAS CITY/HEY-HEY-HEY-HEY!
26. That’s What We’re Here For (Speech)
27. I FEEL FINE (STUDIO OUTTAKE)
28. Paul – Pop Profile (Speech)
javascript:mctmp(0);29. Ringo – Pop Profile (Speech)