2011年、東日本大震災を経験した日本。全国的に節電が叫ばれるなか、多くのイルミネーションイベントは中止にはならず、人々の心を癒してくれている。その裏には様々な節電対策が執られていた。
まずはじめは、宮城県にある「マリンピア松島水族館」。甚大な被害を受けた同水族館だったが、こちらの目玉はな875個の電球を点灯させる3.6メートルのクリスマスツリー。実はこのツリーの電球、2匹の“デンキウナギ”が発電しているのだという。
仕組みは、水中に放出されるウナギの電気を水槽に取り付けた電極で取り出し、ツリーの電球に繋いでいるとのこと。彼らは常時、レーダーとして弱い電気を放電しており、その間は光も控えめ。だが、毎日12時15分のエサの時間になると、興奮したウナギが最大の電力を放ち、ツリーもまばゆく輝くのだという。
このような「節電イルミネーション」は各地に見られる。全国随一のイルミネーションといわれる「ウインターイルミネーション『冬華の競演』」を開催する三重県桑名市「なばなの里」。ここでは、使用電力すべてを火力式の自家発電施設で生産。スタッフたちはエアコンを全面カットし、ダウンジャケット着用で働くなど涙ぐましい努力も。
そして誰もが知っている「東京タワー」。「クリスマスイルミネーション」でおなじみのこの季節、東京タワーの真下で輝く生木のツリーの電飾は、専用の太陽光パネルからの電力で半日分がまかなわれているという。点灯時間を大幅に短縮し、さらに蓄電した深夜電力の使用により、イルミネーション全体で前年比42%の節電を行っているという。
被災地復興の願いを込めて、今年も全国で「祈りの光」が灯り始めている――。