日活100周年にあたる今年、なかでも注目を浴びているのが、映画『キューポラのある街』『愛と死をみつめて』などで、あの吉永小百合(67)と44作品も共演した日活純愛路線の大スターである浜田光夫さん(68)だ。
しかし近年、彼がアルコール依存症に侵され、急性膵炎を発症し、死のふちをさまよい、過酷なリハビリ生活を送っていたことは知られていない。今回は傍らで支え続けた妻であり、元宝塚女優・青園宴として活躍した浜田恭美子さん(65)と共に夫婦で当時のことを初めて明かしてくれた。
「お酒を飲みだしたのは裕次郎さん(故・石原裕次郎)と出会ったのがきっかけでした。日活に入社して、『もういっぱしだぞ、飲みに連れてってやる』と裕次郎さんに連れられて飲むようになったのがきっかけです」(光夫さん)
それからほぼ365日毎日かかさずお酒を飲むようになった光夫さん。年齢とともに飲酒の量も増えていき、酔って体に傷を作ることも増えていったという。恭美子さんによると、この頃には足取りもおぼつかなく、漏れるような声を出す状態にまで悪化していた。そして‘10年1月、光夫さんは突然背中、胃の裏側に激痛を訴え、体が水さえも受けつけなくなってしまう。
「慌てて知り合いの先生に連絡しました。病院に行くと即入院。『急性膵炎』という診断でした。すでに膵臓が固まりかけていると言われて、とにかく驚きました」(恭美子さん)
「3日病院へ来るのが遅かったら命を落としていたらしいんです」(光夫さん)
一命を取り留めた光夫さんはアルコール依存症の専門病院に入ることを決意する。
「とにかく大変でした。毎日のように自分がどうしてアルコールに依存したのか、その原因や気持ちをほかの患者さんたちとディスカッションしたり、アルコールで失敗していく人を描いた短編ビデオを見たり……。まさにアルコール依存症更生のプログラムですね。それになによりも自分より重度の依存症の人たちに囲まれていることによるショックが大きかった。こんなふうになってしまうのかと……」(光夫さん)
それでも1カ月ほどで専門病院を出ることになり、依存症克服のための大きなヤマを乗り越えた光夫さん。その後は自宅で恭美子さんと共に生活習慣を改めた日々を送る。毎日ふたりで1時間半ほどかけて犬の散歩にも行くようになったという。そしてこんなうれしいこともあった。
「小百合ちゃん(吉永小百合)の仲間が集まる『ユリの会』というのがあったんですが、ちょうど入院中で行けなかったんです。それで後日、小百合ちゃんに電話で、『急性膵炎になっちゃったんだよ』という話をしたら、『来ないからどうしちゃったのかと思っていたの。じゃあ、快気祝いやろうね』と言ってくれて、それで今年の春に開いてくれたんです」(光夫さん)
アルコール依存という危機を乗り越えたふたり。光夫さんは、依存症を克服した今でも体力維持に励み、“人生最後まで役者”という思いのもと活動を続けている。アルコール依存症という危機から脱したふたりの周りには今、笑顔が溢れている。