《「八甲田山」の撮影を終えるまではと意固地になっていたお陰で、コマーシャルの仕事さえも断っていた僕は、気に入って所有していた京都三千院近くの土地と、ハワイのマンションを売却せざるを得なくなっていた》

 11月10日に悪性リンパ腫で亡くなった高倉健さん享年(83)。亡くなる4日前に完成したという“最期の手記”にも、財産を手放してまで仕事に打ち込む健さんらしい姿が描かれている。

「健さんは生涯200本以上の映画に出演し、その総収入は100億円以上と言われています。しかし投資などにも興味はなく、撮影が終わると決まって海外で過ごすこともあって、収入に比べると遺産は驚くほど少ないのです」(映画関係者)

 健さんの自宅は世田谷にあり、亡き元妻・江利チエミさんのお墓のすぐそばにある。約260坪の豪邸だが、遺作となった『あなたへ』が公開された翌年の’13年1月まで、1億8千万円の抵当権がついていた。また’82年には港区内にマンションを購入し、“隠れ家”として使用していたが、ほぼ完済状態だったとはいえ、こちらにも抵当権がついていたのだ。

「世田谷の自宅は、土地評価額も高く4億円前後。港区内のマンションは約185平方メートルとかなり広いですが、30年以上前に建てられた物件なので、1億円ほどになります」(不動産鑑定士)

 遺した資産は不動産2件で5億円だけ……。「資産運用とやらには不器用だったから」と 天国の健さんはつぶやいているかもしれない。

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