「役者を始めたとき、もともとはアクションをやりたかったんですが、けがばかりで。そのころ、(坂東)玉三郎さんの舞台に出させていただくことになったんですが、慣れない現場だし稽古場にいても楽しくなかった。でもいざ実際の舞台での稽古に入ったら、初めて見る世界の美しさに驚きと興奮を覚え、すぐに“ずっと舞台に関わっていこう!”と思いました」
そう語るのは、さまざまな役を演じてきた堤真一(50)。最近では、『マッサン』(NHK)で演じた豪快な関西弁の社長役が記憶に新しい。そんな彼が次に挑むのは、7月スタートの『リスクの神様』(フジテレビ系・水曜22時〜)。意外にも、フジテレビ系連続ドラマの主演は本作が初だ。
30代に入って、ドラマ『ピュア』(フジテレビ系)で初めて、民放連ドラに出演。舞台で鍛え上げた確かな演技や硬派な容姿に視聴者は引きつけられた。本人いわく「連続ドラマは向いてない」と思っていたそうだが、4年後には、最高視聴率34.2%にも達した『やまとなでしこ』(フジテレビ系)に出演。
「(『やまとなでしこ』では)頭のいい役で数式とか書かなきゃいけなくて、嫌だなと(笑)。でも、素敵な時間を過ごさせていただいて、この作品から連続ドラマに対する考えがかわりました」
ドラマ自体の評判とともに、堤自身の人気も高まり、その後連続ドラマでの活躍も増えていく。そうして積み上げてきた役者人生、なんと30年。彼はこれまでの役者人生をこう振り返る。
「自分でも、よくここまでやってこれたなと思います。もともと役者に強く憧れて始めたわけじゃないですしね。阿部寛さんや椎名桔平さんが同じ年なんですが、阿部ちゃんのCMを目にしたり、桔平が舞台やってるって聞くと、ああ頑張ってるなってホッとしますね。でも言ってもまだ50歳ですから。わからないことだらけです。役者を始めたころと今では、少しは学んだ気がするけど、実はそんなに変わったところはない気もするし、わかったふりはできない世界。まだまだ慣れないですね」