連続テレビ小説『とと姉ちゃん』の20週は、昭和30年。鞠子(相楽樹)と水田(伊藤淳史)の娘・たまきは4歳になった。好奇心も強く、おてんば娘のたまきは、幼いころの常子(高畑充希)とそっくりだと笑う君子(木村多江)たち。朝鮮戦争の需要を受けて、日本は未曾有の好景気を迎え、世間は多くの商品で溢れ返っていた。「あなたの暮し出版」は順調に雑誌の売り上げを伸ばし、社員の数も増えて活気づく。読者からの反響も上々で、常子は花山(唐沢寿明)との仕事に大きな充実感を得ていた。「いつも時代の先を見ている花山さんとだから、こうやって世の中に受け入れていただけたんです」と感謝する常子。
その一方で、新たな次の一手を模索する二人。常子は花山の提案で、理想の台所を求めて各家庭を取材することにする。取材の最中、常子は偶然二人の子どもと出会う。女の子は、粗悪な傘で遊んでいたら、服に色移りしてしまったのだという。常子が会社に戻ると、買ったばかりのミシンが壊れ、社員の一人が怪我をする。この二つの出来事をヒントに、常子は“商品試験”を思いつく。豊富な種類が出回るようになった一方で、粗悪品も多く混在する今、試験をしてどの商品が優れているのかを読者に示す企画を立てたら、と。広告を載せていない自分たちの雑誌は、メーカーに気兼ねすることなく公正な目で真実を伝えられると息巻く常子。花山は、これぞ、モノが溢れず時代にふさわしいアイデアだと絶賛する。まずは身近な日用品からと、石鹸を取り上げることにする常子たち。そんな折、美子(杉咲花)は、キッチン森田屋のコック・大昭(上杉柊平)と交際を始めていた。「あとは常子だけだ」と宗吉(ピエール瀧)たち。
一方で、台所の取材を進める常子は、以前出会った赤い傘の女の子に声をかけられる。父だと常子の前に連れてきたのは、15年前に別れた星野(坂口健太郎)だった。驚きのあまり、言葉を失う常子。事情を知らない本木(島崎俊郎)たちは、星野に台所の取材を申し込み、同意を得る。聞けば、妻に先立たれた後、8歳の息子と5歳の娘と三人で暮らしているのだという。常子が部屋の中に目を向けると、仏壇には妻の遺影が置かれていた。平然を装いながらも、常子はどこか落ち着かない。その晩、君子と2人だけの食卓で、常子は、星野と再会したことを告げる。「幸せそうな星野さんを見ることができて、ただただほっとしました」と常子。君子は驚きながらも、社長として働く常子を見て、星野もうれしかっただろうと言い、常子を優しく見つめる。
石鹸の商品試験を進める花山たちは、本格的な成分分析を民間の検査機関に依頼。数日して石鹸の分析結果が出揃う。いざ記事にしようとした時、検査機関からメーカー名を公表するなら、分析結果を取り下げると言われてしまう。実名を伏せることを余儀なくされる常子たち。結局、商品試験の結果のみが掲載された最新号が完成する。悔しがる花山は、次回からは検査期間に頼らず、全ての検査を自分たちでやろうと言い出す。費用の問題で即答できない常子の気持ちを察する水田は、相当な費用もかかる上に検査をする広い場所も必要になると反対する。しかし、花山は堪らず、「商品試験には、我々が追い求めた『あなたの暮し』の全てがある気がするんだよ!」と常子に気持ちをぶつける。すると、「やりましょう!」と意を決する常子。昔、焼け跡の中、一緒に雑誌を作ろうと花山を誘った時、「もう間違えないようにしませんか」と言った自分を思い出していた。自分たちで全ての試験をすることを決断する。
そんな折、常子の元に、星野が息子の大樹(荒井雄斗)と娘の青葉(白鳥玉季)を連れて現れる。常子たちは、キッチン森田屋を訪ね、宗吉たちとの再会を喜ぶ星野。常子は微笑ましくその様子を見つめる。
常子は本格的な商品試験を行うため、規模を拡大し、ビルの1階に実験室を開く。花山は、改めてこの商品試験こそが、人々の暮らしを守るための我々の使命であると社員を鼓舞する。常子は将来的に電化製品を試験することを見据え、まず歯ブラシを取り扱うことに決める。柄と毛先の形、毛の密集度を顕微鏡で一本一本調べたり、力の入れ方や磨く回数などを細かく決めて耐久度を調べたり、と執ようなまでの試験の数々。常子たちは、3ヶ月かけて延べ300本のブラシの試験を終え、商品試験という『あなたの暮し』の代名詞となる看板記事が誕生させる。こうしてできた最新号は、書店でも売り切れが相次ぎ、編集部にも注文が殺到する。常子は大きな手応えを感じながら、次はどの商品を取り上げるか、社員たちと会議をしていた。そこに花山と水田が現れ、今後も商品試験を続けるには莫大なコストがかかり、さまざまな課題があるという現実を告げる。「商品試験が失敗したら、『あなたの暮し』はつぶれるだろう。それでもやるか?」と花山。商品試験を続けるかどうか、常子は大きな決断を迫られる。雑誌創刊の目的は、日々の暮しを豊かにする女性のための雑誌作りだったことを話し始める常子。安全で良質な商品を人々に届けるため、商品試験こそ今の時代にどうしてもやらなければならない企画だと力強く宣言。「いばらの道になるだろうが、なんとかなるさと信じて、力を合わせて成し遂げましょう!」と思いを語ると、美子をはじめ社員たちは常子に賛同するのだった。
21週の『とと姉ちゃん』は、常子(高畑充希)の発案した商品試験が本格的に始動する。まずはトースターからと活気づく編集部に、星野(坂口健太郎)から自社の製品を提供したいと連絡がくるが、常子は試験の理念を守るため断ることに。申し訳ないと感じた常子が星野の家を訪ねると、息子の大樹(荒井雄斗)が熱を出して倒れていた。星野は、会社の事情で週に一度どうしても帰宅が遅くなるという。こうして常子は、週に一度だけ星野の子どもたちの世話をし、星野の帰りを待つ生活が始まる。そんな常子に、美子(杉咲花)から衝撃の事実が告げられる。