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「一人っ子で鍵っ子でいたものだから、やたら想像力が豊かになったんでしょう。母に言わせると僕はワガママ。でも、すべてに対して真面目だったね」

 

そう語るのは、隔週連載『中山秀征の語り合いたい人』第70回のゲスト・俳優の市村正親さん(67)。19日からのミュージカル『ミス・サイゴン』(東京・帝国劇場にて11月23日まで)に出演する市村さんに、シルクハットとステッキの「かっこいい持ち方」をリクエスト。角度まで細かく指導してもらい、中山もミュージカルスター風に!?ふだんから親交のある2人にじっくり語っていただきました。

 

中山「子供のころから役者志望でしたか?」

 

市村「人前で何かをやるのは好きでしたけど、とくに考えてはなかったかな。大きなきっかけは高校2年生のときに、有志が集まって『3年生を送る会』で舞台を作ったんですよ。すると演劇部の先生に声をかけられて、周りが就職活動しているときに、僕は演劇部に入って演劇にハマっちゃったの。学校に来ていた劇団にお手伝いに行ったり、いろんなところで勉強して、部員のみんなに教えていたね」

 

中山「そこから演劇の道に進もうと?」

 

市村「ハナ肇さんと、青島幸男さんのところに『付き人にしてください』って行ったこともありますよ。当時は雑誌に住所が出ていたから、アポイントもとらずに直接。どちらも門前払いでしたけど、それでよかったんでしょうね。会ってたら気に入られちゃってたかもしれないし(笑)。僕はいま、すべてがいい方向にきているんですよ。いいことがいっぺんにこないのが僕にとってはよかった。らせん階段を上るように、いつのころからか主役ができるようになっていったんだから」

 

中山「どちらかに付いていたら、西村(晃)さんの付き人になることもなかったんでしょうね。西村さんとはどうやって会ったんですか?」

 

市村「『舞台芸術学院』という学校にいるときに、特別講座でいろんな俳優さんやスタッフの方が来ていたんです。西村さんもその1人で、付き人を探していると聞いた校長が僕を推薦してくれて。僕は学校を1日も休んだことがなかったから」

 

中山「何人もいる生徒の中から選ばれた」

 

市村「入学式のときに学院長が『1人の入学金じゃあ、これだけのカリキュラムは作れない。大勢いるからできること。みんなが1人のために授業料を払っているという考え方をしなさい』と言ったの。これはいい言葉だと思って。僕のためにほかの人がお金を払ってくれているんだ、と思ったら休まないですよね。みんな休んでいくと、彼らのお金は僕のものだなって(笑)」

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