「夏に中学時代の友達と秩父へ遊びに行きました。都心の近くで自然を満喫できるなんて! 雨なのに、私たちがいるあたりだけいいお天気で。私、晴れ女なんです(笑)。行列に並んで食べた、かき氷がおいしかったなぁ。友達は来年には海外へ留学してしまうので、寂しくなります」
そう話すのは、女優の道を歩み始めて3年、18歳になった志田彩良だ。屈託なく笑う姿は一見普通の女子高生。短編映画で注目を集め、今回『ひかりのたび』(現在公開中の新宿K’s cinemaほか、全国順次公開)で初の長編映画に挑んだ。ある地方都市で暗躍する不動産ブローカー、植田の娘・奈々を演じる。奈々は父の裏の顔に気づいているが……。
「奈々はお父さん思いと(澤田サンダー)監督から聞いていたので、まずはお父さん自身がどんな人なのか、どんなお仕事をしているのかを考えました。ブローカーという言葉、台本で初めて知ったんですよ。不動産ブローカーとか内容がすごく難しいけれど、だからこそ演じてみたくて。監督は以前、そんなお仕事をされていたとかで、いろいろ話を聞いて社会的背景などの理解を深めていきました」(志田・以下同)
内向的でサスペンスフルな世界観の本作は、モノクロームの映像で表現されている。
「澤田監督は『この作品に色は必要ない』って。こんなきれいな景色をモノクロで撮るなんて、もったいないなとロケ現場では思いました。けれど、作品を見て、お金や人間の黒い部分を描くには効果的だなと納得しました。世の中、見えない部分が大事で、その上に生活が成り立っているなんて……怖いですよね」
志田本人は、作品の暗くて重いイメージとは真逆。
「眠っている奈々ちゃんが目を覚ます最初のシーンは、お昼ご飯の直後に撮ったんですけど、カメラを回す前にカメラマンが調節している間、つい寝てしまって……、『さぁ、始めるぞ!』と言われても、起きられなくて。恥ずかしい思い出です(笑)」
ティーンエージャーらしい透明な笑顔の持ち主だ。
「性格も親子関係も奈々ちゃんとは正反対。私はパパと仲よしで、何でも話します。好きな人ができたら報告しますし。ママが『また寝てるの!?』と怒ると、パパが助けてくれますよ。『寝顔がかわいいからいいじゃん』って(笑)」