おお! 「ムスコ飯」もついに100回を数えることができました。100週は続いたということです。離婚直後からスタートしたこの連載、ま、よく頑張りましたね。これからもご贔屓によろしくお願いします。
今日は嬉しいご報告があります。息子の身長が私と並んだのです。体重も59kgもあります。離婚のとき、彼は小学校の5年生でした。まだ小さくて、ママがいなくなった当時は毎晩涙ぐんでいたのに、本当に逞しくなり、外見はすっかり大人。私の前でも人前でも、もう涙を流すことはありません。バレーボール部のキャプテンになり、責任感も人一倍強い子に成長しました。私は仕事をずいぶんと整理し、子供のそばにいる生活へとシフト。
今はこの子の将来について、いろいろ考えています。44歳の年齢差、欧州で1人生きていくことになるかもしれない息子の未来を案じずにはおれません。よく将来の話をするようになりました。どんな仕事につきたい? 大学はどうする? 最終的にどこで暮らしたい? などなど……。今すぐに決められるわけもないことばかりですけど、これも親心。
「ぼくはね、友達と会社を作って、アップルコンピューターを超えてみせるよ」とある日、打ち明けられました。なんとも頼もしい将来です。息子の将来への希望を聞くのは間違いなく幸せなことです。そうかそうか、と頷きながら、ビールなんかを飲んでいます。
そしたら今日、学校に行く前に息子がこう言いました。「パパ、やっぱりアップルを超えることは簡単じゃなさそうなんだ。10年はかかるよ」と。私は思わず笑ってしまいました。頭をさすって、「20年かかったっていいんだよ。ゆっくりやりなさい」と言ったのです。息子は口を真一文字に結んで、うん、頑張る、と言い残し登校していきました。その背中が逞しかったです。
さて、今日は息子の大好物、ナポリタン。いいえ、辻家の名物、ビーフナポリタンをご紹介します。これ、超簡単でしかも美味しく、息子の大好物。アバウトな料理なのでレシピ化が難しく、満を持しての登場となりました(笑)。
材料4人前:超薄切り肉300g(霜降りより赤身がベター)、フェデリーニ320g、玉ねぎ大1個と半分。ピーマンやパプリカ、マッシュルームなど、お好きな野菜を適量。にんにく1かけら、バター、オリーブオイル、ケチャップ、ウスターソース、油、各適量。茅乃舎の野菜だし(野菜キューブでも)半袋、豆板小さじ半分(隠し味)、塩・こしょう。
まず、フライパンでにんにくをオリーブオイルで炒め、香りを油に移し、千切り玉ねぎを炒め、次に好きな野菜を投入(マッシュルームは最後がよいです)。玉ねぎが色づいてきたら、フライパンの中ほどをあけ、もう一度軽く油を引いて肉を焼きます。バターはお好みで20〜30gを投入(赤身肉は火が入りすぎると硬くなるのでローズ色くらいがベストです)。肉がほんのり色づいてきたら、そこに茅乃舎の野菜だしを袋から出して半分投入。ケチャップ、油、ウスターソースはお好みの量で(このお好みの量が超アバウトなんですが、ざざっと大胆に回しがけする感じです。とくにケチャップは多めがおすすめ)。
最後に隠し味で豆板を小さじ半分程度、入れて混ぜます。パルメザンチーズ、黒こしょう(分量外)などを振りかけましょう。茹であがったパスタを皿に盛り、その上にビーフナポリタンを載せて完成です。
ミートソースでもない、ナポリタンでもない、その中間にあたる不思議な味わい。しかし、バターの香り抜群の名付けてビーフナポリタン! うちの子は大好物ですよ。ご家族に愛される一品ですぞ(豆板が辛い可能性もありますので、お子様用には省いても大丈夫です)。
ボナペティ!
エッセイで紹介されたレシピは、
辻仁成 子連れロッカー「希望回復大作戦」ムスコ飯<レシピ>で公開中!