image

 

’80年代に大ヒットした映画『クレイマー、クレイマー』をご存じでしょうか。妻の自立心から破局を迎えた結婚生活。残された夫は幼い息子の面倒を見ることに。ちょっと笑えて、ちょっと涙する名作でしたね。主演はダスティン・ホフマン。’80年代を代表するハリウッド映画です。

 

しかし、これ、どこかで聞いたことのあるようなストーリーじゃないですか?(笑)私も若いころに映画館で見て、涙を流した経験があります。とくにホフマン演じるお父さんが幼い息子くんとフレンチトーストを作るシーンが、笑えてまた泣けるんです。そして、ついに先日、息子がやってきて、私にこう言いました。

 

「パパ、パンペルデュ、作ってあげようか? おやつに」

 

パンペルデュとは……。はい、ご名答。フレンチトーストの仏語です。ペルデュとは「失う」という意味。この場合、失うのは「愛」ではなくて「パン」(笑)。つまり、食べ残して硬くなってしまったパンを使ったところからこの名前が生まれたわけですね。かくして私たちはキッチンに並んで立つことになりました。まさに、映画のように!

 

私がシングルファザーになったとき、息子は10歳でした。あれからぐんぐん大きくなって、いまや身長は並んでいます。1人で飛行機にも乗りますし、お泊まりもします。なんでも1人で出来るようになり、もうすっかり青年。さらには、私のためにおやつを作ってくれるまでに成長したのです。『クレイマー、クレイマー』との違いは、ホフマン演じるミスター・クレイマーが、料理のできない男であったこと。私はラッキーなことに料理が得意。正直、この差は大きかったです。もし、私が料理の苦手な男だったら、子育てはもっと難しかったでしょう。

 

さて、男の役割とか、女の役割とか、こういうものも時代とともに変わってきますね。自立する女という言葉もどこか’80年代的ノスタルジーを感じます。これからはみんなで子育てをする時代に、みんなで子供を見守る社会になればいいなぁ、と思う今日このごろです。

 

ということで、今日はそのフレンチトーストを作りましょう。奥様、辻家のフレンチトーストはそんじょそこらのフレンチトーストじゃありませんですぞ。だって、私と息子はパリで生きているからです。パリジャンな2人組です。うちのフレンチトーストは本物なんです。とっても簡単なうえに、日本では絶対真似できない美味しさ。超簡単ですから、今日こそ一緒にトライしてみてください。

 

材料:ブリオッシュパン2枚(もしくは、デニッシュ生地の食パンでも大丈夫ですけど、断然ブリオッシュパンをおすすめします!)、卵1個、牛乳120ml、生クリーム100ml、砂糖25g、バター10g、ブラウンシュガー少々(グラニュー糖でも可)、キャラメルソース適量(メープルシロップでも可)、バニラアイス適量。

 

まず、ボウルに卵、牛乳、生クリーム、砂糖をまぜ、卵液を作る。ここでフライパンを中火に温め、バターを溶かしておく。次に、ブリオッシュを3~4㎝ほどの厚さに切り(厚めにするのが大事です)、先ほど作った卵液に浸す。途中でブリオッシュをひっくり返しながら1分~1分半ほど卵液によく浸したら、中火くらいで様子をみつつ片面5分ずつゆっくり焼く。このとき、焦げないようにじっくり火加減を調節しながら焼いてください。焼きあがったら両面にブラウンシュガーをふりかける。最後に、もう30秒ずつ両面を焼いて、ブラウンシュガーをキャラメリゼしたら完成。バニラアイスを添え、キャラメルソースをかけて召し上がれ。

 

ほっぺたが落ちるほど、とっても美味しいフレンチトーストですぞ。

 

ボナペティ!

 

 

本誌連載の料理をえりすぐったレシピ本『パリのムスコめし 世界一小さな家族のための』も絶賛発売中です!

関連カテゴリー:
関連タグ: