人間は、広い世界のほんの一部で生きている。
全てを知ることはできない。
世界のどこかには、自分の知らない何かを熱狂的に愛してる人がいる。研究する人がいる。
そんな人が集まると、小さなブームになる。
誰かの世界を、少しだけ覗いてみちゃおう。
それが「うさこの覗いた世界」なのだ…!
ストレスを抱えた現代人…。
データ上だけで3万人を越える年間自殺者。
学校、会社、家庭…。
日常のちいさなことが繊細なわたしたちのハートを蝕んでいく。
ストレスフリーな社会が出来れば一番いいが、それは難しい。
何故なら、人それぞれ苦痛に感じることは違うし
集団で生きている以上、嫌なことは発生しうるものだからだ。
そんなストレス社会に一体何が必要か?
そう、それは
ストレスを発散できる場所!!
発散できてしまえばあとはこっちのモンである。
必要なのはイヤなことを笑い飛ばせる力だ。
今回は、ストレス発散にうってつけな
皿割専門店「ピアットトーラー」に潜入した!!
お店は雑多なビル街にある。
何の変哲もないビルの3階だ。
ドアを開けると一見普通のカフェのようだが、
奥へ進むとパーテーションで仕切られたストレス発散スペースが広がる。
案内してもらいまずは渡されるのは…防護服だ。
飛び散る破片から我が身を守るためである。
無敵の防護服を身にまとったら
まずは電動ガンを使って皿を狙撃!!乱射!!!
皿がガシャガシャ砕け散っていく音の気持ちよさたるや…!
まるで西部のガンマンによる早撃ちのような景気のいい音を立てている。
平成のガンマンUSAKOデビューの瞬間だ。
続いて、BB弾エアガンによるガラス的の射撃。
綺麗に真ん中に当たると、プレートは木端微塵に砕ける。
逆に当たる位置が悪ければ、部分的にしか砕けない。
難易度が上がる分真ん中どストライクを射抜けたときの爽快感は半端ない。
やはりガンマンたるもの、狙った獲物を撃ち抜けなければならない。
撃ち合いをしたときに相手に当てることすらできないガンマンはただ死にゆくばかりだ。
一人のガンマンとして…。コツを掴んだ平成のガンマンUSAKOはすべての敵を成敗したのであった。
いよいよ本日の主役「皿割」のときがやってきた…。
もうガンマン時代のことは忘れてほしい。
この「皿」というのは、素焼きの器で地球に還るエコ素材なので
安心して破壊神になろう。
なんと、皿に日々の恨みつらみを書けるサービス付だ。
はじめ「え~~~書くことなんてないよ~~~~」とカマトトぶっていたわたしも
少しずつ書きはじめ
気が付けばこのザマである。
皿を埋める数々の怨念…!
自分がこわいよ。
自覚していなくても、思っていた以上にストレスを溜めていたんだということがわかる。
この思いの丈を…壁にぶつけるんだ…!
この世の怒りを…!
すべての憎しみを…!
粉々にするんだ!!!!!!
気持ちを込めすぎて床に叩き付けてお店に迷惑をかける破壊神。
コントロール力のなさが露呈します。
気持ちを込めすぎると空回りするのは皿割でも変わらないようだ。
怒りすぎてはダメだ…。
心を落ち着けて、改めて壁に向かって叩き付ける!!!
パリーン!!!!
気持ちいい音を立てて皿が割れた。
粉々になった姿を確認することもできる。
木端微塵だ…!
わたしの怒りは、恨みは、嫉みは、大きな音を立てながら砕け散ったのだ…。
ここまで「破壊」してしまうと、
なんだかどうでもよくなっちゃう気がする。
ストレス発散法のなかで「紙に書いて破る」や「燃やす」といった
あえて悩みを具現化したうえでそれを壊すストレス破壊システムは古来からあるが、
破壊界の最上級が「皿に書いて割る」なのかもしれない。
「なぜこういった店を始めたのか?」と訊いてみた。
「以前機械を作る会社に勤めていたとき、同僚たちがイライラして基板を投げているのを見て、もっと堂々と何かを投げられる場所があればいいなと思いました。世の中には、イライラして動物を傷つける…という方もいるので、そう言う人たちから動物を守りたいという思いもあります。ストレスをためやすい職種である教師やナースといった方たちにも評判で、ストレス発散にオススメとして紹介されることもあるようです。皆のストレス発散になれば」
「皿割」は単なる「破壊」ではない。
「救済」だったのだ…。
もしかしたらこのストレス社会を生きる人々の前に現れた救世主なのかもしれない。
ピアットトーラー
http://www.eonet.ne.jp/~piat-thor/index.html
皿割は550円から!わたしが体験した射撃(ガラス的6枚)&皿割(お皿5枚)
&電動ガンでの皿割射撃の一通りコースは3400円で体験できるぞ!!
米原千賀子
ライター兼イラストレーター。へっぽこな見た目とは裏腹にシビれる鋭いツッコミで世の中を分析する。人呼んでうさこ。常に今日の夜ごはんのことを考えている食いしん坊健康オタクな一面も。webマガジンNeoLなどで連載中。