今、私はバケツをひっくり返したような雨の降る窓の外を眺めながら、この原稿を書いています。本当は今回の日本滞在中に訪れるはずだった北海道の実家へは、台風18号の影響で飛行機が飛ばなくなってしまったので、急遽行けなくなってしまいました。
カラスが数羽、風に逆らえず、羽ばたいて行こうとしたのとは別方向に飛ばされていくのを見ながら、自然の力に逆らえない生き方という哲学的な感慨に浸っているわけですが、ほんとに日本という国はよくここまで、さまざまな容赦のない自然災害に見舞われながらも、毅然とやりくりしてこられたなあ、と心の底から感心してしまいます。
日本人の私でも感じるので、海外から見たらより一層、驚きも多いようです。イタリアの友達からも「噴火だったり台風だったり、日本はいろいろ大変みたいだけど大丈夫なの!?」というメールを受け取りましたが、自然の驚異をそれほど意識せずに生きている国の人間にしてみれば、自然災害の多い国に住む日本人に、脅威的なものを感じているのかもしれません。
海外で日本の災害報道があるときは、たいてい日本を真ん中にしたアジア全域の地図が出ますが、その場合、災害でダメージがあった地域のみが特定されるわけでなく、日本全体が矢印などのマークで指された表示になっていたりするので、日本に知り合いがいる人は、あれを見たら『日本が大変なことに!』と、ちょっとびっくりしてしまうでしょう。
とはいえ、確かに地震は日本各地で起きていますし、噴火してもおかしくない火山も東西南北方々に散らばっています。遠方遥か彼方で発生した台風も、万遍なく日本のあたりまで「登ってきては、それが義務とでも言わんばかりに列島を横切ったり通過していったりしますから、たびたび「大丈夫?」という連絡をもらっても「ああ、いつのどれのこと?」と、こちらも何気なく対応してしまうのです。