3月18日、チュニジアの首都・チュニスにあるバルドー博物館が襲われ、観光客が多数死傷した。日本人も3人が死亡し、3人が負傷。外務省は渡航者のために世界各地の危険度を4段階に分けて発表している。だが、この襲撃事件前のチュニスは危険度がもっとも低い「十分注意してください」というレベル。日本人がテロの犠牲になることは、誰も予想していなかったのだ。公益財団法人『中東調査会』の金谷美紗研究員は言う。

 

「武装グループが“外国人観光客を狙ったテロが有効”と確信を持って襲撃に及んでいるのは、極めて危険。他の観光立国もテロの危険にさらされていると考えるべきでしょう」

 

1カ月後にはゴールデンウィークをむかえ、数十万人もの日本人が海外に旅立つ。テロに狙われる危険な国はどこなのか?

 

「もはやイスラム教徒の多い観光地では、“どこでテロが起きてもおかしくない”状態なのです。ピラミッドのあるエジプトやヨーロッパからの観光客も多いモロッコなどは要注意だと思います」(テロ問題に詳しい軍事アナリストの黒井文太郎さん)

 

イスラム過激派が活発に活動する北アフリカだが、イスラム問題に詳しいジャーナリストの村上和巳さんはその対岸にあるヨーロッパの地中海沿岸地域も危険性を指摘している。

 

「イスラム過激派のメンバーは北アフリカから、スペインやフランスにもやってきています。特に海岸付近、フランスならマルセイユ、スペインならセビリアあたりにメンバーが流入しているようです。いずれも多くの人々が集まる観光都市で、日本人にも人気が高い」

 

2月には英国の新聞が《イスラム国はリビアを、イタリアなどの南ヨーロッパ地域への出撃拠点と見なしている》とも報じ、イタリア政府も警戒を強めているという。

 

「パリでも今年1月に出版社が襲撃を受けました。フランスにはイスラム教徒も多く、兵士になるためにイスラム国へ向かうフランスの若者も多いのです」(前出・金谷研究員)

 

現在イスラム国は、イラクなどで攻勢を受けているが、追い詰められた戦闘員が出身国に戻り、大規模テロを起こす危険性を指摘する専門家もいる。

 

「そういった意味ではフランスの旅行には警戒が必要ですし、同様にイスラム国への兵士流入が多いイギリスなども要注意です」(前出・金谷研究員)

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