「親の介護は一人で抱え込まないで、困ったことがあったらSOSを発信することが大切です」とアドバイスするのは、『おちとよこの終の住まいを選ぶなら』(日本評論社)の著者で、医療・福祉ジャーナリストのおちとよこさん。
市町村の介護の出先機関の「地域包括支援センター」は、高齢者のよろず相談窓口。介護保険の手続き、利用方法から、健康、生活のことまで何でも相談に乗ってくれる。要介護認定を申請して、判定結果通知が来るまで30日かかるので、入院中に「介護が必要」と言われたらすぐに手続きをしよう。
「役所か地域包括支援センターで介護保険の手続きをする際に、自治体が発行している介護の保険のパンフレットや事業者のリストをもらい、情報収集しましょう。ケアマネジャー(介護支援専門員)を探すときは、すぐに決めないで自宅近くの事業所2~3カ所から、説明を受け、対応を比較してみること」(おちさん・以下同)
また、車いすや歩行器などの福祉機器は介護保険が使えれば1割でレンタルできる。必要なものはいきなり買わないでレンタルしたほうがお得。また、自宅で介護する場合、バリアフリーに改修する必要が出てくる。
「介護保険の『住宅改修費の支給』というサービスを使うと、自己負担1割で、20万円を限度に改修費が支給されます。これもケアマネジャーが手配してくれますので、聞いてみましょう」
両親を同時介護することになった、東京都在住のA子さん(63)の場合、一人で世話をするのは限界があるため、「小規模多機能型居宅介護」を利用している。「小規模~」とは、デイサービス(通所介護)を中心に利用しながら、必要に応じてショートステイや訪問介護を同じ事業所で受けることができるサービス。
「ケアプランを作るときに、ケアマネジャーに伝えたいことは、介護でいちばん何に困っているのか。いちばん改善したいことは何かをあらかじめメモにまとめておくと、話し合いもスムーズにいきます」
介護保険の訪問介護だけでは生活が維持できないときは、市役所によっては「生活支援のホームヘルプサービス」や、交通機関での外出ができない人が、通院や入院、行政の手続きのために外出する場合に利用できる「外出支援サービス」がある。
また、一人暮らしや同居者が食事を作れないときに、昼食や夕食時に弁当を届けると同時に安否確認をする「食事サービス」もある。
「今はいろいろなサービスを提供するデイサービスが増えましたので、厚生労働省の『介護サービス情報公表』(http://www.kaigokensaku.jp)で検索するなど、インターネットを使って探してみるのも手です」