「日本は少子高齢化が進み、人口は減り続けています。昨年の減少数は約24万人で、過去最高でした(’13年・人口動態統計)。このまま減少が続くと、’40年には全国の市町村の半数以上が消滅するという試算もあります(’14年5月・日本創成会議)」

 

そう話すのは経済ジャーナリストの荻原博子さん。少子高齢化が日本に暗い影を落としている。特に地方は深刻で、自治体は人口流出に歯止めをかけようと、さまざまな施策を用意しているという。そのひとつが、IターンやUターンなど移住者を積極的に受け入れ、多額の補助金を出すというもの。

 

「『リタイアしたら田舎暮らしがしたい』という方には、メリットの大きな施策です。北海道の八雲町では、町外からの転入者が住宅を新築し5年以上住むことを条件に、土地約200坪が無償でもらえます。10年前から、すでに約50世帯が移住しています。約40%は道内からの移住ですが、関東からも約35%、17世帯が暮らしています」(荻原さん・以下同)

 

有田焼で有名な佐賀県有田町では、一戸建て住宅を新築し定住する転入者に、転入奨励金として100万円を支給。地方都市でも補助金制度がある自治体もある。

 

「福岡県北九州市は、定住促進事業の対象物件を購入する転入者に、市から最高50万円と住宅メーカーからも市と同額が助成され、住宅購入費に充てられます。対象物件には土地、一戸建て住宅のほか、マンションもあります。また、島暮らしに憧れる方には住宅の補助金が。島根県の隠岐諸島にある知夫村は、住宅の取得や改修に対して最高150万円の補助金が出ます」

 

地方だけでなく、首都圏や京阪神地区周辺でも自治体が移住を促進している。

 

「千葉県鴨川市は、一戸建て住宅を新築した転入者に、市内の業者が建築するなどの条件を満たせば、最高100万円の奨励金が贈られます。関西圏なら、和歌山県九度山町は、住宅を新築し5年以上住む意思があれば、100万円の補助金が」

 

とはいえ、その土地の実情がわからなければ、移住の決断はできない。そのため自治体では、わが町のよさを知ってもらおうと、田舎暮らしを体験するツアーや施設を用意しているそう。

 

「岐阜県飛騨市では、体験住宅として築100年の古民家を、大人1泊1,850円で2週間まで借りられます。富山県南砺市では、市内の空き家を、大人1泊1,000円で借りられます。30泊まで連泊できるので、気候のいい日ばかりでなく、雨や雪など悪天候も体験するといいでしょう」

 

老後の暮らしを考えるなら、病院の有無や買い物の便だけでなく、自治体の高齢者対策や介護施設などの確認もお忘れなく。

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