「日本で『エキストラバージンオリーブオイル』といわれているもののうち、本物といえるものはとても少ないのが現状です。じつは、世界規模でエキストラバージンの偽装が、まん延しているのです」

 

そう嘆くのは、日本オリーブオイルソムリエ協会理事長・多田俊哉さん。健康志向に伴い、需要が拡大しているオリーブオイル。とりわけ、生の実から油分だけを搾り取った「バージンオリーブオイル」のうち、最高品質の「エキストラバージンオリーブオイル」は大人気だ。

 

「オリーブオイルの成分は、7〜8割がオレイン酸で、動脈硬化などを予防することが知られています。エキストラバージンに限っては、さらにポリフェノール類やビタミンEなどが抗酸化作用を持ち、老化防止や美容効果をもたらします。しかし偽造品だと、そうした恩恵はありません」(多田さん)

 

このインチキともいうべきエキストラバージンの実態とは?多田さんに聞いた。

 

「そもそもエキストラバージンとは、EUと、オリーブオイルの生産国約20カ国が加盟する『国際オリーブ協会』という機関が制定した等級。化学検査と、テイスティングによる官能試験を経て、酸敗臭や発酵臭などがまったくないものだけが認められます」(多田さん・以下同)

 

エキストラバージンと呼べるものは、オリーブオイル全体の2割程度。傷んだ実を使っていたり、オイルが酸化したりしたものは、すべてそれ以下の等級になる。

 

「その一方で、消費者が欲しがるのはエキストラバージンばかり。そこで、賄賂などの不正が横行し、粗悪な『名ばかりエキストラバージン』が出回るようになったのです。腐った実を搾ったり、古いオイルに新しいオイルを混ぜて偽装をしたり、これらがいまも世界中へ輸出され、日本でも売られているのです」

 

日本における油の規格は、農林水産省が定めるJAS法のみで、エキストラバージンに関する規制はない。業者から言われるがままに「エキストラバージン」として扱っているのが現状だ。そのため、ラベルから「本物」を見極めるのは不可能だという。

 

「頼りになるのは味覚と嗅覚のみ。だから、本物の味を知っていただくしかないのです。本物のエキストラバージンの味を知るには、オリーブオイルソムリエのいる売場でテイスティングをしてください。また、世界21カ国400種のオリーブオイルを、世界中の専門家が消費者目線で審査する国際コンテストを、日本でも’12年から実施しています。受賞した品を検索してみるのも、購買の参考になります」

 

真のエキストラバージンオリーブオイルを選ぶことで、よりおいしく、キレイに、健康に!

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