現在、30代男女のおよそ35%が独身、というデータがある。それに対してつい気をもんでしまうのが、そんな独身の子を持つ母親たちだ。今回、本誌は全国の独身30代男女各200人に緊急アンケートを実施、彼らの結婚に対する意識を調査した。そこから見える親世代、子世代の言い分とは?それぞれを代表する識者2人に分析してもらった。
「子供がいくつになっても、結婚してほしいと親は願っているもの。結婚して子どもを作って家族を守ることで、受け継がれてきた家族のご縁を大切にしてほしい」
こう語るのは、結婚相談所「オフィス・アン」代表の斎藤美智子さん(71)。一方、「現代女性のカリスマ」とも呼ばれる人気ブロガー・はあちゅうさん(29)は言う。
「結婚の在り方自体も多様化して、未婚でも幸せ、シングルマザーでも幸せと、バラエティに富んだ価値観が受け入れられている時代。しかも、いまや3人に1人が離婚する世の中ですから『結婚したらめでたし、めでたし』というのはおとぎ話ではないでしょうか」
まず「将来的に結婚したい希望があるか」と尋ねると、男女いずれも「ある」が過半数。女性は7割弱と、男性より多かった。しかしこの結果に、はあちゅうさんは疑義を唱える。
「結婚したいか、したくないか、というような質問への答えは、時期によって揺れ動くのが、私たちの世代の考え。仕事がうまくいっていれば結婚なんて考えられないし、うまくいっていなければ結婚して人生を変えたい、と考えるもの。結婚はいまや仕事やメンタルに左右されるものなんです」
斎藤さんのところにも、「子供がしっかりとした結婚願望を持ってくれない」という親からの相談が、数多く寄せられるそうだ。
「『わざわざ結婚する必要はない』という若者の考えは、甘いと言わざるをえません。人生は長く、誰もが老いを重ねる中で病気になったり、つらいことがあったり、ということを想定するべき。自分の人生をずっとひとりで組み立てられるわけがないんですから」
続いて、結婚しない理由について聞くと、男女ともにトップは「ひとりのほうが気楽、自由」という回答。
「気楽なんて言っていたら、良縁なんか寄ってきようもありませんし、縁を引き寄せることも難しいでしょう。愛情について淡白すぎると思います」
斎藤さんは心配顔で言う。それを証明するかのように、はあちゅうさんのところには、こんな相談が増えているそう。
「『もう4年間も彼氏がいません』とか『人を好きになれないんです』といった、つまりは『恋愛ができない』という相談です。彼女たちの根底には、何事にも自分を最優先させたいという気持ちがあります。自分が大好きで、相手が見えない。だから相手のよさがわからなくて、好きになることもないんです」
そして、結婚しないことについて親から何か言われたことがあるか、聞いてみると、結果は男女ともに「ない」が過半数。しかし女性の方は104人対96人と拮抗している。斉藤さんは、親は自分の人生経験を武器に、もっと子供に干渉すべきだと主張する。
「子供が結婚しないのは、親世代から見ると単に理想が高すぎ、ということも多いんです。身長が足りない、髪の毛が薄い、給料が安い……と、人間性以外のところでバツをつける。もったいない話ですよ。そんなときこそ、『人は見かけじゃないわよ』ということを子供によ〜く説いて聞かせて。親のおせっかいは、あったほうが幸せなんです!」
それに対し、はあちゅうさんは「放っておいてほしい!」とリクエストする。
「昔に比べれば、結婚しない選択肢も認知されている部分が大きいので、私たちにとっては生きやすい世の中です。それでも、親世代は自分たちの価値観を押し付けがち。育ってきた時代も、考え方も違います。アドバイスなんてもってのほか。結婚が幸せとは限りません」
どこまでも平行線をたどりそうなこの問題。親は子の意見を、子は親の愛情を尊重するのが重要だということだけは、よくわかりました!