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(写真・AFLO)

「いまはまさに、大手コンビニは“プライベートブランド戦争”です。たとえばセブン−イレブンは黒毛和牛を使用した『金のハンバーグ』を出して、ヒットさせました。しかし他社も『ちょっとぜいたく』を目指したシリーズで、ハンバーグの新商品で巻き返しを狙っています。かつては大手メーカーの商品を希望小売り価格で売っていればよかったコンビニが、いまでは企画を自ら主導し、値ごろ感があり、質も高い商品を作っているんです」(コンビニ研究家の田矢信二さん)

 

コンビニプライベートブランド(PB)は、大手メーカーが製造したナショナルブランドと異なり、コンビニ各社が独自に企画した商品。パッケージに、それぞれのコンビニのロゴが入っているのが目印だ。食品や菓子、ドリンクだけにとどまらず、日用雑貨、化粧品など多岐にわたっている。

 

本誌がコンビニPB商品と、スーパーに売っている商品の平均価格を比較してみたところ、スーパーと比べても、コンビニPBはかなりの低価格を実現できていた。コンビニジャーナリストの吉岡秀子さんは、PBが広がった背景をこう語る。

 

「日本が少子高齢化で“人口減少社会”に入った’05年ごろから、コンビニ業界では、客層のメインターゲットを、これまでの若者からシニア・女性にまで広げようと大きくかじを切りました。’07年に誕生したセブン−イレブン(セブン&アイ・ホールディングス)の『セブンプレミアム』は、まさにシニア客の増加を見込んで、調味料や乾物からはじまったPBです。“家の近く”にあるコンビニで“スーパー並の品ぞろえ”を目指し、シニア層の来店を期待したのです」

 

シニア層をターゲットにしたPBだったが、反響が大きかったのは、働く女性たちからだったという。

 

「コンビニでの売れ筋は、『デーリー商品』といわれる米飯やパン、麺類などの“すぐに食べられる”ものです。日用雑貨などは『非デーリー商品』で、スーパーやディスカウントショップで買うことがメインと考えられていたので、あくまで“緊急用”に売られていました。ところが、たとえばセブン−イレブンがPBとして発売した洗濯洗剤『部屋干しOK!』がOLや仕事を持つお母さんたちの間でヒット商品になったのです。昼間働いているため、夜に洗濯することが多い。そのため部屋干ししても臭わない抗菌作用の高さがヒットの秘密でした。日用雑貨でも、いい品であれば売れる、ということから、コンビニ業界は、シニア層に加え、女性客を取り込むためのPBを次々と開発していくようになったのです」

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