■日本史は逆から学べ
「応仁の乱」関連の書籍をはじめ歴史書が売れている中、この夏に出版された『日本史は逆から学べ』(河合敦著・光文社知恵の森文庫)が早くも5刷りと好調に売り延ばしている。
この本は日本史を、近現代史から古代に向かって紐解く一冊で、「どうしてそうなった?」というシンプルな問いを重ねながら、過去に時代をさかのぼっていくものだ。
「自分が出演しているテレビ番組などで『なぜ』『どうして』と振り返る企画があり、そういったところから着想を得て、本書を執筆しました」
と語るのは、著者で歴史研究家の河合敦先生だ。河合先生と言えば昨年まで27年間、高校で日本史を教えていた元日本史教師であり、歴史関連のテレビ番組でもおなじみの方。
「本書はこれまで執筆してきたどの本よりも重版がかかるのが早かったんです。ニーズがあったのだと感じています」(河合氏/以下同)
■教科書と正反対の構成
同書は第一章の「近現代」から始まり、過去にさかのぼっていく形で第四章の「古代」となる。教科書と正反対の構成だ。
「おそらくそれが目を引いたのでは。日本史は古代から学んでももちろん面白いのですが、『近現代史をもっと知りたかった』という声は、大人世代から案外聞かれていたものです。本書はそう言ったニーズにもこたえられたのではないでしょうか」
同書を開いてみると、近現代史から古代に向かって、主に政治史を軸に「どうしてそうなった?」いう問い繰り返されていく。シンプルだが流れは分かりやすい。
■日本史はマトリックスで学ぼう
ぶっちゃけた所、これ一冊で日本史はOKでしょうか?
「いえいえ! 日本史はもっと奥深いですよ。本書はあくまで、日本史の基本的な流れを掴むための手引き書です。それ故、政治史を中心に執筆しています」
同書では、コラムで外交・文化・経済といった面がフォローされている。
「まずはざっくり政治史を逆さから学んで、歴史の流れ(縦軸)をつかむ。そうしたら、今度は外交・文化・社会・経済など(横軸に)知識を伸ばしていく。マトリックス図をイメージしていただくと分かりやすいですが、縦方向と横方向どちらにも知識を増やすことで、歴史を面として捉えることができるようになります。本書では、その基本となる縦軸を“逆から読んでみませんか?”という事。学校の授業とは違った学び方の提案ができれば、と思っています」
学生時代の授業とはちょっと違う日本史の学び方、興味のある方は試してみては?
【著者略歴】
河合敦(かわいあつし)
1965年、東京都生まれ。早稲田大学大学院博士課程単位取得満期退学(日本史専攻)。多摩大学客員教授、早稲田大学非常勤講師。『世界一受けたい授業』(日本テレビ)など、テレビ出演も多数。主な著書にじっぴコンパクト新書シリーズ『世界史もわかる日本史』『世界史もわかる日本史<近現代編>』(ともに監修/実業之日本社)のほか、『吉田松陰と久坂玄瑞』(幻冬舎新書)、『外国人がみた日本史』(ベスト新書)などがある。