2月8~9日、14~15日と、2週連続で週末の大雪に見舞われた関東甲信地方。8日に東京・大手町で、戦後4番目となる27センチ、山梨県甲府市では15日に観測史上を大きく更新する114センチという積雪を記録。この大雪による農作物の被害は、関東地方だけでも約250億円と推定されている。

 

今回、これほどの大雪をもたらした元凶とされているのが、「南岸低気圧」と呼ばれているもの。『TBSニュースバード』などで活躍する、気象予報士の小林正寿(まさとし)さんに解説してもらった。

 

「日本列島の太平洋岸を、東に向かって進む低気圧を『南岸低気圧』と呼びます。天気予報ではわかりやすいように『日本の南海上を低気圧が進みそうです。これにより、太平洋側では雪が降りそうです』と説明しています」

 

今回の南岸低気圧は、なぜこれほどの大雪を呼んだのか? 小林さんによれば、そのカギは「八丈島」にあるという。

 

「八丈島より北を南岸低気圧が通過すると、暖かい湿った空気が関東付近に向かって入り込むので、雨になります。これがもう少し南の場合、冷たい空気をいっせいに低気圧の中心に引き込みやすくなるのです。こうなると、雪が降りやすくなります」

 

今回の積雪でも南岸低気圧は、八丈島付近を通過していた。さらに今回は、寒気と暖気の温度差が、いつもより激しい状態になっていたという。

 

「地球全体で吹いている『偏西風』が現在、いつもより大きく蛇行しています。偏西風が蛇行すると、空気がスムーズに流れず、寒気が通常よりも南に入ったままたまってしまうのです。今回、いつもは雪の降らない地域(たとえばエジプト)で降っているのはそのせい。そして南岸低気圧も、偏西風の蛇行でやってきました」(小林さん)

 

数年前から指摘されているのが、地球の「寒冷化」。今回の大雪もそれと関係しているのだろうか。太陽活動の変化と、その地球への影響について研究している、武蔵野美術大学専任講師の宮原ひろ子さんに聞いた。

 

「現在の太陽活動は約100年ぶりの低調な状態にあります。太陽の活動が弱まると、地球の緯度の低い地域での、大気の循環が弱まることがわかっています。その結果、海流に変化が起きて、日本付近の気圧配置が変わったということが考えられます。その意味では、日本の大雪と地球の寒冷化は、関係している可能性はあります」

 

それでは、3月以降も大雪が続く可能性はあるのか?

 

「3月や4月は、やはりまだ低気圧が通りやすい季節です。統計を見ても、『寒の戻り』があれば雪の日があります。さらに、’15年の冬も大雪になる可能性があります。この夏、『エルニーニョ現象』が起きるかもしれないんです。エルニーニョが発生すると、その冬は暖冬だと報じられますが、暖冬だと、寒気が日本の上空に道を作り、南岸低気圧が八丈島付近を通りやすい状態を生むんです。油断はできません」

関連カテゴリー:
関連タグ: