安倍首相は1日、来年4月から消費税を8%に引き上げると正式に発表した。これは、日銀のリサーチなどで業況判断指数が好転したことを受けての判断だった。

 

「ですが、給与は一向に上がりません。厚生労働省の毎月勤労統計調査8月速報によると、時間外手当などを除いた所定内給与は、15カ月連続で減少。多少ボーナスや残業手当が増えた企業もありますが、基本給が増えなければ、真の給与増加とは言えません。アベノミクス効果は給与までは届いていないのです」

 

そう話すのは経済ジャーナリストの荻原博子さん。安倍首相は、「景気回復には給与アップが必要だ」と言っている。だが、そのための施策が法人税減税ではあまり期待できないと荻原さんは言う。

 

「給与は、消費税が3%から5%に引き上げられた’97年から下がり続けています。その間にも法人税は3回引き下げを行いました。安倍首相は法人税を下げれば給与が上がると言いますが、法人税を下げても給与は下がり続けているのが過去の事実です。加えて負担増のラッシュです。’11年には所得税の、’12年には住民税の扶養控除が廃止。年収500万円前後の子育て家庭で、合わせて10万円の負担増となりました」

 

これからも、給与が上がる見込みがなく負担ラッシュが続くのはさけられないようだ。そんな消費税増税を前に、荻原さんは「消費税増税前に大きな買い物をしない」ことをアドバイスする。

 

「増税前に大きな物は買っておきたいと思いがちですが、焦ってはいけません。増税後のほうが得なこともあります。最も大きな買い物である住宅は、住宅ローン控除の拡充と低所得者向けの補助金支給で、増税後の購入でも大きく損することはありません。中古住宅の場合は、個人対個人の売買なので消費税はかかりません。不動産仲介手数料などには消費税がかかりますが数万円程度ですから、住宅ローン控除の多い増税後に買ったほうがお得です」

 

また、車の購入も自動車取得税が軽減される予定なので、買う時期による大きな価格差はないという。

 

「増税前の駆け込み需要を見越して売り手は今、強気です。特に不動産価格は高騰中。増税後には落ち着くと予想されますから、慎重に選び価格が安定してから買いましょう。日用品も腐らないからと買いだめするのはやめましょう。たくさんあると扱いが雑になり無駄が生じます。適量を見極めストックは過不足なく。保管場所に困るほど買ってはいけません」

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