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生命保険の中で最近、人気なのが、「一時払い終身保険」と呼ばれるもの。保険料を契約のときに一括で払い、死亡した際に、払い込んだ金額を上回る保険金が支払われる、「貯蓄型」と呼ばれる生命保険だ。

 

「退職金の運用先として注目されており、生命保険各社でも多彩な商品を取りそろえています。たとえばある商品は、60歳の女性が1千万円の保険料を一時払いすると、死亡時に受け取れる死亡保険金は1千273万円になります」(経済紙記者)

 

普通の預金ではすずめの涙ほどの金利しかつかない今、この一時払い終身保険が注目されるのもうなずけるが……。

 

「これは、終わりの始まりかもしれません」と警告するのは『バカしか入らない生命保険』(祥伝社新書)の著者で、国際保険総合研究所の三田村京所長。

 

「一時払い終身保険は、生命保険会社にとって大量の資金を一気に集めることができます。その裏には、あまり芳しくない経営状態と、それを打破するためになりふり構わずおカネを求めるという、会社の思惑があります。とくに生命保険会社の中には、バブル期に安い保険料で販売した保険の契約分が、経済が低迷したことで、契約者に約束した利率で稼げていない“逆ざや”状態で苦しんでいるところもあります。そういった会社にとっては、苦肉の策といえるのです」

 

大手生命保険会社に勤務経験のある三田村所長は、こう続ける。

 

「しかも、仮に生命保険会社が破綻したときは、契約者に返すおカネが少なくてすむのも、一時払い終身保険の特徴。そもそも、保険会社の体質は『1を払ってもらったら1返す』というのではなく『1を払ってもらっても0.2しか返さない』というものです」

 

銀行に預けておくよりも高い利回りで、保険金を受け取れるのが、一時払い終身保険の最大の売りだ。しかしファイナンシャルプランナー集団「生活設計塾クルー」の取締役で、生命保険にも詳しい深田晶恵さんは、首をかしげる。

 

「一時払い終身保険には『解約返戻金』といって、保険を解約したときに戻ってくるおカネがあります。そのため、貯蓄代わりと勧められて契約する人も多いようです。たとえば、’15年に保険料1千万円を一時払いしたケースだと、商品によって差がありますが、10年後の解約返戻金は1千10万〜70万円、年利回りは0.1〜0.7%。10年満期の定期預金の金利0.1%と比較すると、それほど得ではありません。さらに’16年3月からは、マイナス金利の影響で運用率が軒並み低下しているので、貯蓄としての魅力はなくなりました」

 

さらに短期間で解約すると、元本割れを起こすのが問題だ、と深田さんは続ける。

 

「定期預金なら途中で解約しても、預けたおカネが減ることはありません。しかし一時払い終身保険は、商品にもよりますが、おおむね10〜15年、経過しなければ、解約返戻金が元本以上になりません。この間に、病気や事故、家のリフォームなど、予期していなかった事態が起きて、まとまったおカネが急に必要になることがないとも限りません。それが解約時期によって元本割れしてしまうのでは、貯蓄の意味がありません」

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