新横浜ー小田原間を走行中の東海道新幹線で乗客の男女3人が殺傷された事件で、殺害された男性会社員(38)=兵庫県尼崎市=が、襲われた女性2人を助けるため、殺人容疑で送検された無職小島一朗容疑者(22)=愛知県岡崎市=ともみ合って転倒してもなお立ち上がり、制止に入っていたことが13日、県警への取材で分かった。
県警によると、転倒後も立ち上がって同容疑者に向かっていく男性の姿を、車内の防犯カメラ映像などで確認した。これまでの調べで、同容疑者は新横浜駅を通過して間もなく立ち上がり、隣席の女性をなたで切りつけた。県警によると、2列後ろにいた男性が異変に気付き、同容疑者を後ろからつかむようにして制止したが、もみ合いの末に転倒。別の女性が襲われた際に立ち上がり、再度制止したという。女性2人は、軽傷を負ったが、男性が制止する間に、別の車両に避難した。
男性の親族は13日、神奈川新聞社の取材に「(事件は)残念。今はお答えできない」と話した。
また、同容疑者が「社会を恨んでいた。人を殺す願望は昔からあった」と供述していることが新たに判明。凶器のなたと果物ナイフは「数カ月前に買った」と説明しており、県警は凶器を事前に準備し、計画性を持って無差別に乗客を狙った可能性があるとみて、動機の解明などを進める。県警によると、これまでに同容疑者から事件への反省や、被害者への謝罪の言葉はないという。
県警は13日、同容疑者が暮らしていた岡崎市の祖母宅を家宅捜索した。事件は9日夜、東京発新大阪行きのぞみ265号(16両編成)の12号車で発生した。
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