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6月18日、マグニチュード(M)6.1を観測した大阪北部地震は、死者5人、負傷者415人、建物損壊(半壊、損傷など)が約1,100棟という被害をもたらした。さらに、電気、水道、ガス、そして交通機関などの都市機能がマヒし、関西地方に大きな爪痕を残す災害となった。

 

大阪北部地震が起きる前日の17日、群馬県の南部でM4.6の地震が起きている。さらにその3日前の14日には、千葉県南部でもM4.1の地震。千葉県南部は21日にもM3.5の地震が発生した。

 

多発する地震……。まるで政府が「30年以内の発生確率80%」と発表している南海トラフ巨大地震の前兆のようにも思える。

 

「南海トラフとは、静岡県の駿河湾から九州東方沖まで続く深さ約4,000メートルの海底のくぼみ(トラフ)です。これまでM8前後の巨大地震を繰り返し起こしてきました。最新のものである1944年の東南海地震(M7.9)では、津波などによる死者が1,223人。1946年の南海地震(M8)では、1,330人が死亡しています。南海トラフを震源とする巨大地震は、平均発生間隔は88年と、およそ100年の周期で起きています。近年、活断層による内陸型地震が多発していますが、74年前の南海トラフ巨大地震が起きた前にも、同じような現象がありました」

 

こう話すのは、過去のデータを基に、さまざまな地震予測や分析をおこなっている、災害危機コンサルタントの堀越謙一さん。

 

「南海トラフは、日本列島側のユーラシアプレートに、太平洋側のフィリピン海プレートが潜り込むことによってできています。この潜り込みでできた歪みが一気に解放されると、南海トラフを震源とした巨大地震が起こります。一方、巨大なプレートが潜り込むことによって、地殻が変形、歪みを生じ、亀裂となって断層が発生します。内陸型地震は、このような地殻の歪みを解消するために発生する地震なのです」(堀越さん・以下同)

 

堀越さんは、過去のデータから、巨大地震に連鎖しそうな次に危ない断層帯を4つ警告する。()内は、各断層でもっとも大きい地震が懸念される地域だ。

 

【1】周防灘断層帯(大分県)――M7.6程度、周期5800~7500年
【2】中央構造線断層帯(愛媛県から徳島県にかけて)――M8程度、周期1000~1500年
【3】奈良盆地東縁断層帯(奈良県)――M7.4程度、周期約5000年
【4】琵琶湖西岸断層帯(滋賀県)――M7.1程度、周期1000~2800年

 

※推定数値はいずれも、政府の地震調査推進本部データ

 

「過去の地震の傾向を分析すると、南海トラフ巨大地震の前には、必ず内陸型地震が発生しています。前回も兵庫、大阪、京都、奈良の関西地域。熊本、鳥取、長野などで大規模な地震が起きました。これらの地域にも活断層がいくつも存在していることから、過去の地震の傾向を考慮したうえで、予想される断層帯を抽出しました」

 

この中でも、特に「中央構造線断層帯」には注意が必要だという。

 

「じつは現在の状況は、422年前の大地震直前に酷似しています。1596年の9月1日、現在の愛媛にあたる場所で、中央構造線断層帯を起因とするM7の慶長伊予地震が起きています。その3日後の9月4日、現在の大分にあたる場所で、M7の慶長豊後地震が起きました。そして、翌日の5日に、京都でM7.5の慶長伏見地震が起きています」

 

慶長豊後地震の震源地は別府湾-日出生断層帯で、’16年の熊本地震の震源地から近い場所だ。慶長伏見地震の震源地は有馬-高槻断層帯。今回の大阪北部地震が発生したのは同断層帯の東端付近だ。

 

「422年前に起きた地震と近いエリアで、近年2つの地震が起こったにもかかわらず、中央構造線断層帯を起因とする地震はまだ起きていません。数年以内に愛媛から徳島にかけて大規模な地震が発生する可能性を考えずにはいられません」

 

内陸型地震に加え、やはり気になるのが南海トラフを震源とした大地震が起こる時期だ。ちなみに、1596年から9年後の1605年、南海トラフが震源と推測される、M7.9の慶長地震が起こった。千葉沖から九州にかけての広域で、津波被害などによって、5,000人以上が亡くなったといわれている。

 

「近い将来、南海トラフの領域で、M8からM9クラスの地震が確実に起こります。平均発生間隔が88年とした場合、前回の1946年に発生した南海地震から計算すると、2034年がひとつの目安となります。しかし近年の活発な地震活動を鑑みると、まさにいつ来てもおかしくありません」

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