「最新のスパイクなんて初めて見ます。こんなに軽いんですね!驚きました」
お腹に乗せてスパイクの重みを感じた定田和希さん(22)は、呼吸器をつけたままの顔をほころばせた。
定田さんは幼稚園卒園前に難病・筋ジストロフィーを発症。現在は石川県金沢市にある病院で、入院生活を送っている。8歳のころに車いすで生活するようになり、いま自由に動かせるのは両手の指だけという状態だ。
サッカー日本代表・香川真司選手(29)から定田さんへ贈られたプレゼントが『女性自身』編集部に届いたのは6月28日夕方、サッカーW杯ロシア大会・対ポーランド戦の数時間前のことだった。本誌は6月26日発売号で、定田さんのインタビュー記事を掲載していた。
定田さんはボランティア団体『メイク・ア・ウイッシュ オブ ジャパン』の協力により、’12年9月に生まれて初めて、スタジアムでサッカーを観戦した。
ピッチの香川や本田圭佑選手(32)たちが縦横無尽に駆け回る姿を目の当たりにしたことで、よりサッカーが好きになり、その後は近場の試合なら外出して見に行くようになったという。いわば香川のプレーが、定田さんの人生を変えたのだ。
香川のマネージャーは言う。
「私がロシアにいる香川に、女性自身さんに掲載された記事のことを知らせました。記事を読んだ香川は、病床から自分を応援してくれている青年がいることを知って感動し、またとても勇気づけられたそうです。そして『ぜひ定田さんに贈り物をしたい』と連絡がありました。幸いロシアに出発する前に、彼がサインをしていたグッズがいくつかあったのです」
香川から本誌編集部に託されたのは日本代表ユニフォーム、スパイクなど。その1つ1つに丁寧にサインが書かれていた。体を起こすことができない定田さんのため、父・誠さんが、見やすいように顔の近くに寄せてあげると、目が輝いた。
「本当に、こんなにスゴイものをいただいていいのでしょうか? なんだか驚きすぎて、感情の整理がつきません。もしかして僕、もうこれで死んじゃうのかな(笑)。実は来週、誕生日を迎えるんです。香川選手のおかげで一生忘れられない誕生日になりました。W杯の対コロンビア戦でのゴールも嬉しかったですが、これからも香川選手がゴールを決めてくれる瞬間を見届けていきたいと思います」