大作を控え、意気込みを語る屋比久知奈=都内の琉球新報東京支社 画像を見る

 

大学生の時にディズニーアニメ映画「モアナと伝説の海」の日本語吹き替え版で主役の声優というチャンスをつかんだ屋比久知奈(ともな)(24)は、新たな世界へと挑戦を続けている。6月には上京後初めての芝居でヒロインの大役を経験し、新たな境地を開いた。来年はミュージカルの大舞台・帝国劇場の舞台に立つ。屋比久は「今回の舞台で経験したことをしっかり生かせるようになりたい。また別の芝居の機会ももらえるように勉強したい」と屈託のない笑顔で目を輝かせた。

 

上京後の初舞台は、女優渡辺えり率いるオフィス3○○(さんじゅうまる)40周年記念公演の超音楽劇「肉の海」で、ヒロインの美希子とシン・アリスの二役を演じ分けた。得意の英語の歌とダンスを交えながら、体全体で表現した。共演者は軒並みベテランぞろい。渡辺のほか、三田和代、ベンガル、尾美としのり、久世星佳らが居並ぶ中、物おじすることなく、体格の違いを感じさせない大きな演技が印象的だった。

 

大役だったが、不安はなかったという。稽古が始まっても台本はまだ完成していなかったが「えりさんが表現したいことをキャスト全員で探りながら稽古する、その熱量が良い意味で緊張感のある稽古場だった」と振り返る。

 

新たな世界の広がりに「すてきな役をもらえて、大御所の中で今日はどんなふうにできるか、ワクワクだった。お芝居に苦手意識はなかった。今回経験して、お芝居を楽しむポジティブな気持ちになっている自分がいた。最後にはもっともっと芝居をしたいと思っていた」と胸をときめかせている。

 

舞台への憧れは、小学1年のころ、東京で見た劇団四季のミュージカル「ライオンキング」から。「歌って、踊って、ミュージカルって楽しそう」

 

その夢が今年10月に実現する。上京後初のミュージカル出演は、トム・サザーランド新演出の「タイタニック」。10月1~13日に東京・日本青年館ホールで、17~22日は大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティで公演される。こちらも豪華キャストと臨む。

 

さらに2019年にはミュージカルの金字塔「レ・ミゼラブル」で帝国劇場の舞台に立つ。上京した際に初めて「レ・ミゼラブル」を見て「歌も音楽もすてきで、映画も素晴らしいが、この舞台には出たいと思った」と思い入れは強い。とんとん拍子で大舞台が待ち構える。それを支えるため、日々、地道な練習を重ねる。

 

(滝本匠)
(2018年7月20日 琉球新報掲載)

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