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《差別やめろ 受験料を返せ 公正にやれ》《私たちは女性差別に怒っていい》

 

8月3日夕方、東京都新宿区にある東京医科大学正門付近にはプラカードを掲げ持つ人々が集まり、一時騒然となった。

 

8月2日に報じられた東京医大医学部医学科の一般入試における“女子減点問題”は、学生や受験生のみならず、多くの女性たちに衝撃を与えた。

 

得点操作に関してはマニュアルも存在し、入試を担当する学務課長や、大学トップの数人だけがその存在を把握していたという。だが昨年同大学医学部を卒業した男性は言う。

 

「振り返ってみれば、私が在学中にも教授たちが、不正をにおわせる発言をしていたのは確かです。例えば『女子のほうが優秀な人が多いから、本来なら女子のほうがいっぱい入っちゃうんだよね』とか、『この学校は、入学者の男女比が毎年いつも同じなんだよね』といったものです。私の同級生の女性は、教授から『君が入学してきたことで、この大学に入れなかった男子がいるんだぞ』と、あからさまに言われたこともあるそうです。しかし成績が貼り出されてみると、120人いるうち100位以下なのはほぼ全員男子でした。不正入試により、女性は男性よりかなり優秀でないと入学できなかったのかもしれません」

 

精神科医やコメンテーターとして活躍している香山リカさんも、東京医大の卒業生だ。

 

「この“得点操作”報道に関しては、私も驚いています。私が大学に在籍していたのはいまから35年以上前ですが、私の学年は女性も多かったのです。医学部ですと女性は1割程度というのが一般的でしたが、私の同級生は120人中30人ほどが女性でした。教授たちも『患者さんは男女半々なんだから、医者も男女半々いたっていいし、むしろそうなるべきだ』と言っていて、差別を受けた記憶はありません」

 

しかし、いざ就職となると事情は異なったという。

 

「病院で働くために教授に相談しても、女性たちは希望する科に行けない人も多かったのは事実です。例えば外科での勤務を希望しても、『女性医師を受け入れられるシステムや体制がない』といった理由で叶わないケースもありました。また研修医時代に女性たちが『君は結婚したり妊娠したりはしないよね?』と言われることも多かったのです。男女雇用機会均等法の施行以降、いまはそういった傾向は緩和されていると思うのですが……」

 

東京医大の不正は氷山の一角ともいわれている。一大学の問題としてとらえるだけではなく、これを機会に医療現場そのものの見直しや改革が必要な時期が訪れているのかもしれない。

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