30日投開票の県知事選に向け開催された佐喜真淳氏、玉城デニー氏による公開討論会では、辺野古埋め立て承認「撤回」の評価や新基地建設の是非、次期沖縄振興計画の在り方などを巡って論戦を展開した。女性政策を巡り、佐喜真淳氏は「女性の能力が年々上がっている」と述べ、玉城氏は「待機児童を解消する」と語った。県が計画する展示会や国際会議などが行える大型MICE施設について佐喜真氏は「予算措置がなぜできなかったか精査したい」と述べ、玉城氏は「現計画をしっかり求める」と話し、意見が割れた。沖縄大特別研究員の島田勝也氏が進行役を務めた。(文中敬称略)
<振興>
「新たな税制措置を」佐喜真氏
「県の可能性生かす」玉城氏
島田 これまでの5次の沖縄振興計画をどう評価し6次に臨むか。
佐喜真 沖縄のポテンシャルはものすごく高い。そこを生かせるような計画と、新たな税制や予算措置を含めてやるべきだ。
玉城 沖縄21世紀ビジョンの後期3年が残り、アジア経済戦略構想も打ち立て、アジア経済のダイナミズムをどんどん引き込んでいる。日本のフロントランナーとしての政策、税の軽減対策に予算などを、沖縄が自分たちのために使うことが前提だ。
島田 予算の一括要求は続けるか。内閣府沖縄振興局をどう捉えるか。
玉城 沖縄総合事務局は役割を終えている。
佐喜真 沖縄は高率補助、税制で自立している。世界を相手にする計画を政府に打ち上げ、テーブルをたたいていい。
島田 復帰50年、どんな沖縄にするか。
玉城 復帰50年から先は新時代沖縄だ。沖縄の自立型経済をしっかり確立するため、沖縄のさまざまなポテンシャルを有効活用して、その収入を呼び込む。
佐喜真 那覇空港は第3滑走路も考えた方がいい。鉄軌道、跡地利用こそがまさに沖縄の宝だ。国が70年安全保障上使っているなら70年、100年分の投資をしてもらう。その交渉を私はできる。
島田 翁長県政でMICEは暗礁に乗り上げた。
玉城 翁長県政では沖縄発展の起爆剤にしたいという計画があった。しっかり求めていきたい。
佐喜真 なぜできなかったか、予算の原資を内閣府と詰めたのか、中身を精査し議論したい。
<暮らし>
「女性活躍の環境を」佐喜真氏
「待機児童解消する」玉城氏
島田 子の貧困対策は。
佐喜真 政府、県、市町村がしっかり現状把握して的確な事業をやる。
玉城 子どもの貧困対策推進基金を活用して各施策を進めていく。
島田 女性政策は。
佐喜真 女性のパワーは年々上がっている。女性の質の向上、女性の地位やモチベーションが上がるような環境をつくっていくことが重要だ。
玉城 待機児童の解消など誰一人取り残さないことを訴える。あらゆるセーフティネットを築き、女性の皆さんが安心して働ける環境を整えていく。
<普天間返還>
「安保は国が決定」佐喜真氏
「『建白書』を実現」玉城氏
島田 争点は何か。
玉城 辺野古埋め立て承認撤回の是非だ。普天間飛行場の閉鎖返還と新基地建設断念を求める建白書の実現を掲げる。
佐喜真 普天間飛行場の返還だ。中部圏域の基地返還で1000ヘクタールの土地が返ってくる。70年、100年の投資をしてもらう。
玉城 佐喜真さんは2017年2月17日の公聴会で「日米両政府は辺野古が唯一であり継続使用を避ける唯一の手段であると言っている。それを否定できない」と述べている。辺野古移設推進ではないか。
佐喜真 基地問題、安全保障問題は国が決める。地方自治体は外交権がない。国会議員あるいは政府がそれしかないと言ったら「いや、これじゃ駄目だ」と言うことは「じゃあ(普天間の)固定化を目指しているのか」と言われかねない。デニーさんのような方々(国会議員)がしっかりと政府は県外に移せと努力すればいいが、われわれには努力の限界がある。辺野古の話ばかりするが、宜野湾市民は悩み苦しんできた。
佐喜真 県が辺野古埋め立て承認を撤回し、法廷闘争に入ろうとしている。玉城さんは「造らせない」と主張している。一方で法治国家だ。仮に県が負けた場合にどうやって基地を造らせないのか。
玉城 まず承認の撤回について、この先は私が予断を持って言えない。今回の承認撤回はジュゴンやサンゴの保護、計画の後に見つかった辺野古断層の問題、軟弱地盤の問題、高さ・高度制限など、ありとあらゆる問題について、(沖縄防衛局が)何ら県と協議する姿勢を取っていないことによるものだ。撤回は公有水面埋立法という法律に基づいた法治国家の地方自治体が取るべききちんとした手続きだ。