マグロの解体に見入る人たち=8日、沖縄県北谷町のレストラン「蒸気海鮮」 画像を見る

中国本土でコンサルタント会社を経営し、起業家らに影響力のある女性が沖縄に移住し、人材育成などに取り組む事業会社「金之島」(北谷町)を立ち上げ、中国からのビジネスマンらの研修を受け入れている。研修では県内のホテルや専門学校で、日本のおもてなしやブライダルのビジネス手法などを伝授している。SNS映えする景色が魅力の自社レストランも活用し、沖縄観光コンベンションビューロー(OCVB)もMICEの取り組みの一つとして注目している。

 

事業を展開する趙丹(ちょうたん)社長(32)は中国吉林省出身。中国国内でコンサルタント会社を経営していたが訪れた沖縄の魅力に引かれ、中国のブライダル産業の協会「中国社会工作協会婚姻文化服務業聯合委員会」で副会長を務めた夫の金耀(きんよう)取締役(49)と共に移り住み、今年2月に会社を設立した。

 

人材育成の研修は「五感遊学」と題し、座学だけでなく文化体験など実際に経験してビジネスに生かしてもらおうと取り組んでいる。11月5~9日に行われた研修には中国本土の各地から120人が参加。参加者は恩納村のホテルでは日本式のブライダル手法、県内の免税店で勤務する中国人販売員からは接客マナーなどを学び、琉装といった沖縄の文化も体験した。

 

趙社長は今回、コンサルタント会社経営の経験を生かし、担当した企業のビジネスマンらを中国から招待した。北谷町の自社レストラン「蒸気海鮮」では自ら歓待し、沖縄のホスピタリティーを伝授した。参加者は目前に海が広がる絶景のテラスで、マグロの解体ショーやサンセットを楽しんだ。OCVBも特色あるMICEの取り組みの一つとして注目、三線の演奏者を派遣して歓迎した。

 

研修は既に来月、年明けの予約も入っており、年間千人を受け入れる計画だ。コンサルタントの経験を生かし、影響力のある「インフルエンサー」としての役割を果たす趙社長は「沖縄のいいことをつなげたい」と懸け橋を目指している。

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