国内外から多くの観光客を受け入れる沖縄でも近年、飲食店の無断キャンセルが深刻な問題に。対策を強化する店も増えている=24日夜、那覇市内 画像を見る

飲食店などを予約しながら、連絡もなく来店しない「ノーショー」の問題が深刻化している。飲食業界の損害は、全国で年間約2千億円に上るとも言われている。国内外から多くの観光客を受け入れている沖縄でも、ネット予約の普及で外国人客が増えた一方、「ノーショー」が急増しており、対策に乗り出す店舗が増えているという。

 

経済産業省や全国の飲食関連業界団体による有識者の勉強会などが11月、飲食店の予約を無断でキャンセルした客に損害賠償請求できることなどを盛り込んだ初の統一指針「No(ノー) show(ショー)(飲食店における無断キャンセル)対策レポート」を発表した。

 

指針では、無断キャンセルが発生した場合、コース予約の場合は全額、席のみなら平均客単価の5割程度を飲食店が消費者に請求できるなど、キャンセル料の具体的な算定基準を盛り込んだ。法的強制力はないが、業界初の統一見解として飲食店での普及を呼び掛けている。併せて消費者にも理解を求めていく。

 

無断キャンセルに頭を抱える店は県内にも多い。「インターネット予約が気軽なだけに、罪悪感があまりないように感じる」と話すのは、「沖縄料理ちぬまん」などを展開する沖縄観光開発の与那和正専務。気軽さゆえに、客側が事前の予約調整をしっかり行わないまま「取りあえず」予約したり、キャンセルし忘れたりすることが多いとみている。対策としてちぬまんの各店舗では、コース料理や大人数での予約の場合、2日前と当日に電話で予約確認することを徹底するようにした。

 

予約に応じて食材を仕入れているという那覇市の和食店は、外国人観光客10人分の予約を受けたが、当日店に現れないため電話すると「もう他の店で食べている」と断られ、泣き寝入りしたことがある。店主は「繊細な食材を扱う懐石やフレンチ店は、無断キャンセルによる損害が死活問題になりかねない」と訴える。

 

懐石料理やコース料理を提供する高級店では、当日の無断キャンセルは全額を、予約2日前の取り消しは30%のキャンセル料を徴収するなど、独自のキャンセルポリシーを設けている店も少なくない。「店のホームページにキャンセルポリシーを明記し、大人数の予約の場合は事前決済を求めるようにした」と和食店店主。店側としての工夫も強調した。

 

県飲食業生活衛生同業組合(鈴木洋一理事長)は「年明けから組合加盟店を中心に、指針の認識共有と消費者への啓発活動に本腰を入れる」としている。 (当銘千絵)

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