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突然の現役引退を宣言し、日本中を驚かせた“霊長類最強女子”吉田沙保里(36)。1月10日に開いた引退会見でも「女性としての幸せを絶対に掴みたい」と語るなど、かねてから結婚や出産への強い憧れを口にしていた。

 

だが世界のトップとして活躍し続ける吉田にとって、出産は高いハードル。『婦人公論』16年3月8日号のインタビューでもこう語っている。

 

「結婚はもちろんしたい。ただ、子どもができたら、競技生活は続けないでしょうね。私は家族をもったら、そっちに専念したいほうなので」

 

現役続行か出産か――。その狭間で揺れ続けた吉田。だが、そんな彼女の気持ちを縛りつける人物がいた。大学時代から吉田を指導してきた栄和人氏(58)だ。実は“親友”澤穂希(40)との対談で、吉田はこんなことを明かしていたのだ。

 

「たしかにレスリングは今しかできないし、恋愛は後でもできる。でも、できたら彼氏が欲しい(笑)。栄監督も私がロンドン五輪までに結婚したいって言ったら、してもいいって言うし……。ただ、子供はダメだって」(『スポルティーバ』09年2月号)

 

「子供は産むな!」という恩師に課せられた“呪縛”。パワハラ以外の何ものでもない命令だが、吉田はかたくなに守り続けた。そして昨年、栄氏による伊調馨選手(34)らへのパワハラ騒動が発覚。吉田は苦悩した。だが同時にそのことは、彼女を解放するきっかけにもなっていた。

 

「栄さんがパワハラ問題で激しく批判された際も吉田さんは、沈黙を貫きました。引退会見では『世界で活躍できる選手に育ててくれたのは栄監督だと思っています。感謝の気持ちでいっぱいです』と告白。それほど吉田さんは、栄さんのことを尊敬していました。実は、リオ五輪のときに引退を決めていたそうです。年齢や持病の喘息のこともあり、肉体的には限界を迎えていました。それでも東京オリンピックを目指したのは『支え続けてくれた栄監督のためにも、もう少し頑張ってみよう』という思いがどこかにあったといいます。そんな矢先に、栄さんが協会の強化本部長を辞任した。そこで肩の荷が下りたのでしょう。彼女は『もう自分のために生きてもいいのかな』と考え、引退を決断する決め手になったそうです」(前出・レスリング協会関係者)

 

長い時を経て“十字架”をおろした吉田。新たなる幸せを求め、彼女は再び歩み始める――。

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