名護市辺野古の新基地建設で埋め立て区域「(2)」にトラックから投入される土砂 画像を見る

 

米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古の新基地建設で、沖縄防衛局は25日、新たな区域への土砂投入を開始した。埋め立て反対が7割を超えた2月の県民投票以降、新たな区域での埋め立て着手は初めて。県民投票の結果を受けて玉城デニー知事は安倍晋三首相と会談した際に埋め立ての中止を求めていたが、政府は既定方針を変えず強行した。玉城知事は「民主主義を踏みにじり、地方自治を破壊するもので、他の自治体でも同様の事が起こりかねない」とのコメントを発表した。

 

土砂投入を開始したのは、現在埋め立てを継続している区域(2)―1と隣接する区域(2)(約33ヘクタール)。沖縄防衛局は25日午前8時半すぎ、県海岸防災課へ「準備が整ったため埋め立てに着手する」と電話で通知した。水中の濁りが広がるのを防ぐ汚濁防止膜などを設置した後、午後2時58分にダンプトラックで運んできた土砂を2カ所から投入した。

 

辺野古の浜に近いK1護岸から最初の土砂を投入した。続いて米軍キャンプ・シュワブの海岸線に面する護岸から投入した。昨年12月に始まった区域(2)―1でも土砂投入を続けた。

 

新基地建設に反対する市民団体「ヘリ基地反対協議会」は同日午後1時半に「土砂投入許さない、海上大行動浜集会」を辺野古の浜で開いた。約700人(主催者発表)が集まり「県民は絶対諦めない」「土砂投入を阻止しよう」と気勢を上げた。シュワブのゲート前にも午前5時から市民が集まり、工事に抗議した。

 

玉城知事はコメントの中で新基地建設に今後13年以上かかるとの試算を示し「喫緊の課題は言うまでもなく、普天間飛行場の一日も早い危険性除去だ。政府が辺野古移設に固執して同飛行場の危険性を放置することは決して許されるものではない」と強調した。

 

県は22日、政府が新しい区域に予定通り土砂を投入する方針を示したことを受け、埋め立て承認撤回の効力を停止した決定の取り消しを求め、福岡高裁那覇支部に提訴した。

 

政府は当初、大浦湾側の埋め立て区域から着工する計画だったが、軟弱地盤を改良する工事が必要なため方針を変え辺野古側から土砂を入れている。改良工事は設計変更の承認を県から得なければならないが、県は認めない構えで、大浦湾側の埋め立てに着手できる見通しは立っていない。

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