クルーガー国立公園で泥遊びを楽しむサイの親子(写真:Barcroft Media/アフロ) 画像を見る

南アフリカ共和国にある世界屈指の動物保護区、クルーガー国立公園。広大な園内で2日、1人の男が命を落とした。その死に様があまりにも“因果応報”であると話題だ。

 

同園のレンジャーは2日、1本の電話を受けた。相手は「そちらでサイを密猟をしていた私たちの家族がゾウに殺された」と話したという。レンジャーはすぐに捜索に出たが遺体は見つからず、人間の頭蓋骨と泥だらけの衣服が遺されるのみだったとか。

 

共に密猟をしていた仲間によると、怒りで興奮したゾウが突如密猟者たちを襲い、1人を殺害。仲間は家族に訃報を伝え、通りがかった人に見つけてもらえるよう遺体を道路まで運んだが、翌日の朝には遺体は消えていた。園は「痕跡から見るに、ライオンの群れに食べられたようです」と声明を発表した。

 

同園の最高経営責任者、グレン・フィリップス氏は「違法にクルーガーへ徒歩で侵入するのは大変危険であり、賢明とは言えません。この事件はその証左です。亡くなった男性の娘さんたちが父親の死を嘆いているのを見ると、彼の遺体や遺品を少ししか返してあげられないことがとても悲しい」とコメントする。

 

ニューヨーク・タイムズによると、サイのツノはアジアで1ポンド(約454グラム)あたり9,000ドル(約100万円)の価値があるといわれている。テキサスクリスチャン大学でサイの保護活動を主導する「ライノ・イニシアティヴ」を創設したマイケル・スラッタリー氏は「サイのツノは違法な市場で最も高価な製品の1つ。そのため密猟者が後を絶ちません。現在、サイのツノの価格は1キログラムあたり15,000ドル(約167万円)から50,000ドル(約557万円)。金やコカインよりも高価なため、密猟者を駆り立てているのです」と現状を語る。

 

アフリカからアジアに持ち込まれたツノは伝統的な漢方薬の原料に使われるというが、ツノを構成している成分は100%ケラチン。つまり、圧縮された髪の毛のようなものであり、人間の健康に被益するところは一切ないという。

 

この事件は欧米のニュースサイトで一斉に報じられ、Twitterでは「カルマだな」「グッジョブ! ジャングルの王!」「正義は下された」「これが因果応報ってやつか」といった声が相次いでいる。

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