釣り人が捨てたとみられるごみ=5月28日、糸満市の潮崎ビーチ(読者提供) 画像を見る

 

釣り人によるマナー違反が原因で、釣り禁止を明示する港が近年増加している。本来、漁港は漁業関係者のために整備されたものであり、港内での釣りは関係者に黙認されている状況だった。本紙取材で、本島内にある漁港のうち看板などで釣り禁止を明示している港は17カ所あることが分かった。そのうち10年以内に禁止を明示したのは8カ所で、5年以内が4カ所、それ以外は回答が得られなかった。釣りの現状と現場を探った。

 

県内漁港の管理は県や各自治体の管轄だが、業務を外部委託している場合もある。しかし実際に使用しているのは漁協であり、漁業者だ。港に携わる機関が複数に及ぶため、微妙な認識の違いが生じ、釣り禁止を明示していない場所も多い。
取材した漁港管理業者や漁協関係者が口をそろえるのは、釣り人によるごみ放置や安全上の問題、漁業者とのトラブルだ。残った釣り餌をその場に放置して帰ってしまうため、悪臭はもちろんネズミや害虫などの被害が出る。

 

足場が不安定などの理由から立ち入りを禁じているにもかかわらず、警告を無視して侵入することも多い。さらには、漁業者所有の船に勝手に入り込み、漁具を使用したり盗んだりする悪質なケースもあるという。

 

読谷村都屋漁港は漁協組合員170人を有する港だ。定置網漁やジンベエザメ見学ツアーも行っており、港は活気にあふれている。港入り口のゲートには、大きな文字で「釣り禁止」と書かれた看板が立つ。読谷村漁協によると、釣り禁止の看板は10年以上前から設置している。禁止勧告を無視して釣りをする人もいたが、ここ数年で釣り人によるごみや盗難の被害が増えたため、2年前から看板を増やしたそうだ。

 

ある男性組合員は「自分も釣りが好きなので、気持ちは分からなくもないが、漁業者の作業の邪魔になったり、ごみ被害があったりなど深刻になっている」と頭を悩ませる。「自分たちの生活もかかっているので、釣りは禁止にせざるを得ない」と語った。

 

一方で、釣り禁止を明示しているが、一部釣り人のための釣り場を設けている漁港もある。名護漁港は、県内でもまれな釣り場のある漁港だ。漁協は名護漁港の他に許田・辺野古・汀間の四つの支部から構成されており、組合員は100人以上。夏にはハーリーや祭りが行われるなど、釣りをしない県民にも親しまれている港だ。

 

防波堤の外側にある海に突き出た広場は「名護テラス」の愛称で多くの釣り人に愛される。3カ所ある釣り場は週末になると多くの人でにぎわい、足場の良さから親子連れも多い。しかし、漁協関係者は「最近はテラスにも、残った餌や残飯が入った弁当箱を放置していく人が後を絶たない」と話す。テラスに放置された悪臭漂うごみを片付けるのは漁協関係者だ。また専用の釣り場を設けているにもかかわらず、禁止区域で釣りをする人もいるそうだ。

 

那覇市在住で40代の男性釣り愛好者の一人も「このままではテラスも釣り禁止になってしまうのでは」と、危惧する。昨今の釣りブームの中、釣り人のモラルがいま、問われている。
(仲本文子)

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