2019年の沖縄県産モズクが不作で、生産量は18年より約6千トン減少して1万5千トン前後になる見込みだ。高水温や日照不足など気象や海洋条件に恵まれなかったことが原因と見られる。県内最大のモズク産地の勝連漁業協同組合は、不作の影響でモズクのキロ単価を18年より100円高い300円とした。上原勇行組合長は「単価が300円になるのは約20年ぶりだ」と話した。
今期のモズク養殖は「早摘み」にあたる前期(3月)に収穫が伸びなかった。沖縄県水産海洋技術センターによると、モズクの生育期である11~12月の海水温が昨年に比べて2~4度高い26度で、日によっては28度まで上昇した。モズク生育の適正温度は25度以下のため、高水温が原因で生育不良につながったと考えられる。
モズク生産量日本一を誇る勝連地区では今期のモズク生産量を5~6千トンと見込んでいる。18年は8273トンと豊作だった。勝連漁業協同組合の上原組合長は「今年は例年と比べてかなりの不作だ」と話す。
同組合は3月にキロ単価を200円に設定した。不作の影響で漁師からモズクを仕入れている中間卸業者が250円に設定したため、同組合は300円まで引き上げた。上原組合長は「生産者として単価が150円以上あればいいが、これほど高くなると小売価格に影響する。スーパーで値段が高いと消費者は購入しない。モズクは大衆向けなので高級品になってはだめだ」と懸念する。
県水産海洋技術センター海洋資源・養殖班の、近藤忍研究主幹は「高水温でも生育が不安定にならないようなモズクの株を作る必要がある。天然海域から優良株を探して、養殖業者に提供できるような株を作っていきたい」と話した。
(石井恵理菜)
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