10年連続で、修学旅行で訪れている神奈川県の栄光学園。体験学習の成果発表会は毎回大きな盛り上がりをみせている=2019年2月、沖縄市一番街 画像を見る

 

【沖縄】沖縄の縮図ともいわれる「基地の街コザ」。その魅力を内外に発信している沖縄市観光物産振興協会(島袋隆会長)が修学・団体旅行を受け入れてから今年で10年目を迎えた。これを機にこのほど実績をまとめた結果、2018年度には100団体を超えるまでに増加している。また人気旬刊誌が今年5月、「ディープなコザが熱いぜ!」と30ページの大型特集を組み、修学旅行生がドル使用体験できる地域性などで全国的な注目度が高まっている。

 

沖縄市は異国情緒な街並み、独自のチャンプルー文化などの顔を持ちながらも、観光面では、北部地域に向かう観光バスが素通りする地域だった。

 

着目したのが米軍嘉手納基地がある現実、終戦から現在に続く戦後の沖縄を凝縮した歴史。まさに基地の街ならではのリアルな平和学習など、「今ここにある戦後」をテーマにコンセプトを設定した。さらに魅力の素材を深掘りし、エイサー、三線、空手、黒糖づくりなどの文化体験、史跡巡り、ゲート通り、胡屋十字路界隈などの商店街巡り、ロケ地ツアー、ロック・民謡などライブのナイトツアーなど多彩なメニューを用意した。最近ではコザ騒動など同市を舞台にした直木賞の小説「宝島」、ヒット中の映画「小さな恋のうた」でさらに関心が高まっている。

 

協会の精力的なプロモートが奏功。団体旅行の受け入れはスタート時はわずか1団体、120人余だったが年々増加。18年度はついに107団体、9千人余までに増加した。

 

特に県外の中学、高校の修学旅行が増えているのが特徴だ。神奈川県の栄光学園は10年連続で体験学習に取り組んでいる。

 

案内役の認定観光ボランティアガイドの養成講座も13年から毎年開催し、現在約60人が活躍している。第2期生の伊禮洋子さんは修学旅行生の反応について「基地の街は怖いというイメージがあるが、私たちのガイドで多文化が共生している街だということを知って、フレンドリーな街のイメージで帰ってもらっている」と手応えを語った。

 

今後の課題について、同協会の山田一誠事務局長は「インバウンド対応も視野に入れ、海外の人の街歩きや文化体験の受け入れなど、プログラムをさらに充実させたい」と意欲を示した。

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