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「僕には彼ほど偏愛できるものはないですね。ひとつのことを突き詰められるってうらやましい。自分もそうなれたらいいけど、わりと飽き性なので“浅く広く”がモットーです」

 

映画『アルキメデスの大戦』(7月26日公開)で演じた天才数学者・櫂直(かい・ただし)について、そう振り返る菅田将暉(26)。

 

「もし僕が急に“俳優を辞める”って言い出したら、没頭できるものがほかに見つかったってことじゃないですか」と笑うが、彼が俳優以外の道に進む姿は、正直なところ想像できない。

 

菅田が、映画『あゝ、荒野 前篇』で日本アカデミー賞最優秀主演男優賞に輝いたのは昨年のこと。藤原竜也(37)や大泉洋(46)といった、居並ぶ人気俳優たちを抑えての受賞だった。

 

「それはもう、うれしかったですよ。でもびっくりもしました。あの場で僕を選ぶのは、大きな賭けだったんじゃないかと思う。作品としても扱いやすいものじゃなかったはずなのに」

 

実際、ほかにノミネートされていたのは『探偵はBARにいる3』や『8年越しの花嫁 奇跡の実話』といった全年齢作品ばかり。そのなかで『あゝ、荒野 前篇』は、前後篇に分かれているうえに上映規模は30館弱。しかもR指定までついていた。

 

「グロいシーンもあれば性描写もある。すべての人が見られる映画ではないのに、それでも選んでもらえたっていうのは、僕にとってすごく大きかったです。たぶん、期待されているのもあっただろうし、世の中に求められているものが変わってきているんだなと」

 

名実ともに若手随一の俳優となった彼は、これからの日本のエンターテイメント業界を担う一員として、ある種の責任も感じ始めたと語る。

 

「10代のころは同世代の俳優にバチバチなライバル心もありました。でも、今はもうそんなこと言ってられない。僕らの世代は圧倒的に人材が足りないって危機感もあります。だから、役者同士、事務所同士で争ってる場合じゃない。お互いにリスペクトし合って協力したほうが、絶対にいいものが作れるはず」

 

そんな菅田も今年でデビュー10周年。「一歩一歩、確実に登ってきた感じ」と語るほど、順風満帆な俳優人生だが、プライベートには一抹の不安もあるらしい。

 

「役を演じるってことは、年がら年中、他人の人生のことばっかり考えるってことだから、そろそろ自分の人生のことも考えないとなって。もちろん、それも俳優としての自分の人生ではあるんですけど。気付いたらもう26歳で、最近ようやく“税金のこととかこんなに大変なんだ!”って。僕、履歴書の書き方すらわかんないですからね。社会人としてちゃんとしなきゃなっていうのはありますよ。とはいえ、ずっと変わらず自由でいられたらと思ってますけどね」

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