【今週の悩めるマダム】
“ワシも族”という言葉をご存じですか? 定年退職して暇を持て余した夫が、妻がどこかに出かけようとすると「ワシも」と言ってついてくる現象です。私も夫にまとわりつかれ、辟易しています。スーパーについてきても、何の役にも立ちません。四六時中一緒だと思うと、ストレスでおかしくなりそうです。(大阪府在住・60代主婦)
知らなかったので、いろいろと調べてみました。なるほど、日本では大変なことが起こっていますね。でも、ワシも族の方々のことを調べれば調べるほど、同性で同年代の僕としては、切なく胸が苦しくなります。若いころは仕事に燃え、趣味も持たず会社のために尽くしてきたご主人。PTAに参加することもないし、もちろん、家のことは奥様にすべて任せっぱなしだった。それだけに、定年退職後は目標や意欲を失い、“濡れ落ち葉”化。そもそも会社という組織の中だけでしか生きてこなかったせいで、地域社会でのコミュニケーションの構築さえできないわけです。さらには男性ホルモンの低下も進んでくるころで、もう、踏んだり蹴ったりですね。
このご主人たちが買い物に出かけようとする奥様に「ワシも」と言ってまとわりつく。これはまとわりつかれる側としてもたまったものじゃありません。のんびり買い物もできないし、周囲の方々もワシも族が邪魔で邪魔でしょうがないことでしょう。しかし、ご主人を傷つけないで奥様から引き離す方法を見つけるのはなかなか簡単ではありません。拒否するといじけてしまいそうで手に負えませんね。趣味や新たな目標をご夫婦で考えてみるとか、夫に何か新しい仕事や学習機会を与えるとか、そういうことになるのでしょうが、定年まで放っておかれてきた奥様としてはここから手に手を取って頑張ろうという気にはなかなかなりにくい。綺麗ごとを言えば、ご夫婦の愛を取り戻して、ご主人と楽しみながら人生を乗り切ってください、と申し上げたいところですが……。王道の解決策はそれだとして、ともかく今すぐに何か手を打たないと、自分がノイローゼで倒れてしまいます。そんな奥様には“女王様作戦”がカンフル剤としてよろしいかと思います。
この問題を解決するためには、女王様になりきって、ご主人に毎日何かしらの使命を与えることが大事です。「このシャツをクリーニングに出して、キャットフードはいつもの銘柄で。晩酌用の日本酒を千円以内で探しておいて。ついでに美容院を4時から予約しておいたから行ってください。5時半に公園のベンチで待ち合わせましょう」という感じ。そして、奥様は時間通りに行かなくても大丈夫。6時を過ぎても問題ありません。ご主人はスカッとしたヘアスタイルでベンチに座り、妻が戻ってくるのを待つという大使命を全うしている最中なのですから。買い物に一緒に出かけても「あなた、これとこれとこれをお願い。2人で手分けしてささっと片付けちゃいましょう」と指示を出してみてください。責任感がご主人の今日を豊かにしてくれるはずですから。買い物が終わったら、赤ちょうちんに2人で入って、ビールで乾杯してください。もちろん、ご主人の奢りでね。
【JINSEIの格言】
“ワシも族”を撃退するためには、女王様になりきって、ご主人に毎日何かしらの使命を与えてみて。ただし、上から目線はNG。責任感がご主人の今日を豊かにしてくれるはずです。
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