【東】2017年10月に東村高江で米軍のCH53E大型輸送ヘリコプターが不時着・炎上した事故から11日で2年が経過した。事故現場となった牧草地の所有者、西銘晃さん(66)に対し国が約束していた損害補償は依然支払われず、西銘さんは「突然音沙汰もなくなり、まるで忘れられたようだ」と懸念を募らせている。事故原因も特定されないまま、同区では米軍機による60デシベル以上の騒音の記録回数が増え続け、住民は不信感を強めている。
事故後、沖縄防衛局は牧草の品質が事故前に回復するまでの損害補償を約束し、18年10月~今年5月にかけて牧草の収穫量を3回にわたり調査。防衛局は本紙の取材に「関係規則などに基づき適切に対応しており、賠償状況は個人のプライバシーに関わるため回答は差し控える」と回答。西銘さんは「5月以降、連絡が途絶えた。担当者も代わったようで補償があるのかさえ分からない」と眉をひそめる。
事故原因も特定されていない。防衛局は18年12月、米軍の調査結果から事故要因を「根本的な原因の特定には至っていない」と述べるにとどめた。その後も事故原因の説明はなく、住民の不安を払拭(ふっしょく)するには至っていない。「なぜ事故が起きたのか説明を求め続けている。ヘリがいつどこに落ちるか分からない状況では、住民に平穏な暮らしはない」
米軍機の夜間飛行は続き、午後11時すぎに自宅上空を飛び去っていくことも。西銘さんは「何事もなかったかのように畑や民家の上を飛ぶ。2年たつが何も変化はない」と語った。
9日も米軍機2機が東村上空で訓練飛行する様子が目撃され、旋回飛行を繰り返した。ヘリは後部ドアを開き、乗組員が機関銃のようなものを外側に向ける様子も見られた。訓練を目撃したチョウ類研究者の宮城秋乃さんは「現在飛行しているCH53も、どの程度メンテナンスされているか分からない」と指摘する。「そんな危険な機体からさらに危険な銃を向けていた。環境や人間に対する配慮が足りない」と話した。