「オキナワムームーの店 ラ・セーヌ」の店主・平良みどりさん。平良さんが首にかけているのはゴーヤーのリボンレイ 画像を見る

 

ムームーの新しい形を模索 オキナワムームーの店 ラ・セーヌ

 

沖縄市、一番街の「オキナワムームーの店 ラ・セーヌ」は県内でも珍しいムームーの専門店。ムームーとはゆったりとした華やかな柄のワンピースのことで、もともとはハワイの女性の正装とされる民族衣装。沖縄ではパジャマ、あるいは観光客が着るものというイメージを持つ人もいるだろう。店主の平良みどりさんは「県民の皆さんに普段着として着てもらいたい」とムームーの新しい形を日々、模索している。

 

県内で初めてアーケード化した商店街として知られる一番街は、現在シャッターが閉まっている場所も少なからずあるが、新店舗もできるなど雰囲気も変わってきた。そんな中、祖母から母、そして娘へと形を変えながら受け継がれてきた店がある。現在、3代目の平良みどりさんが営む「オキナワムームーの店 ラ・セーヌ」だ。平良さんは、自身が手掛けるオリジナルを「オキナワムームー」という名称で展開し、普段着として着られるよう創意工夫を凝らす。

 

祖母から始まった店

 

同店はもともと平良さんの祖母・国吉八重子さんが衣料雑貨を扱う「国吉商店」から始まった。戦死した夫に代わり5人の娘を育てるため働き始めたといい、当初はコザ十字路近くで営んでいたが、立ち退きに合い現在の場所に移転。しばらくして、八重子さんの娘・新里千代子さんがその店の一角を借り洋裁店を始め、後に2代目として店を継ぐ。

 

一方、平良さんは高校卒業後、大阪の短大で経営実務を学んだ後、東京のデパートで販売と仕入れの仕事を経験した。25歳で帰沖し、母がかつて祖母の店で働いていたように、平良さんもまた母の店の一角でブラウスの専門店を始める。

 

母から店を継いだのは、いまから6~7年前のことだ。

 

「お店では、もともとムームーを取り扱っていたので、ムームーの専門店にしようかなと思いつきました」と話す。

 

当初は既製品のムームーのみを扱っていた平良さん。「冬に仕入れに行くと『いまはないさ~』と言われました。じゃあ、冬に私は何を売ればいいの? と思ったのがきっかけで、長袖のムームーや普段着になるムームーをどうしても作りたくなったんです」。

 

そんな思いから製作し始めたムームーは、徐々に注目されるようになった。

 

昨年は一番街にあるアーケードリゾートオキナワホテル&カフェ(ARO)から声が掛かり、ムームーの展示会を開催。今年は、台湾の百貨店で催された物産展にも参加するなど、好評を得ている。

 

デザインの幅広げたい

 

同店は、若い世代から年配の人まで幅広い客層が訪れる。

 

「昔は結婚式の余興で着るために買いに来る人が多かったのですが、最近では結婚式のドレスコードがムームーということでお求めになる人もいます。『ムームーパーティーをするの』と言って若い女性が来たこともあります」とそれぞれにムームーを購入する理由もさまざま。

 

こぢんまりとした店内には、既製品に交じって平良さん手作りの一点物も彩りを添える。その中で最近仕上げたばかりだという新商品を紹介してもらった。胸元が着物のように打ち合わせになった「カシュクール」だ。

 

「ワンピースとして着てもいいし、コートのように羽織ることもできます。妊婦さんや、お産を終えたばかりの人にもお勧めですよ」と平良さん。ひもでウエストを調整できるので、あまり体形を気にすることなく着こなせる。素材は綿とポリエステルのハワイアンファブリック。しわになりにくいのがうれしいところ。合わせるアイテムによって着こなしの幅が広がるのも大きな魅力だ。

 

平良さんは「一人で作っているのでたくさんはできませんが、一年に一つずつでも新しいものを作ってデザインの幅を広げたい」と目を輝かす。これからも、どんなムームーができるのか楽しみだ。
(﨑山裕子)

 

オキナワムームーの店 ラ・セーヌ
沖縄市中央1-7-3
☎︎098-937-6325
営業時間=13時~19時

 

(2019年10月17日付 週刊レキオ掲載)

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