松本白鸚(77)主演ミュージカル「ラ・マンチャの男」の上演回数が10月21日、1,300回に到達した。69年4月の初演から50年にわたり主演を務めている松本。各メディアによると「ただ一生懸命に無我夢中に続けておりましたが、それも劇場に足をお運びくださった皆さまのおかげです」とカーテンコールで挨拶。さらに、こう語ったという。
「これからも命の続く限り、役者人生を生きてまいりたいと思います」
ネットでは《若い頃に観た時は、難しいって感じていたけれど、再演の度に感じ方が変わっていって、考えさせることも多い深い作品だと思います!それを長期のライフワークとして演じている白鸚さんは素晴らしい》《ライフワークとも言えるこの舞台 もっと長く続くといいですよね》と松本の偉業を讃える声が上がっている。
「松本さんは22歳の頃、『王様と私』でミュージカルに初挑戦しました。ミュージカルの上演自体も年に1、2本あるかないかくらいの時代に歌舞伎俳優がミュージカルに出演することは大変珍しかったんです。26歳で『ラ・マンチャの男』に出演し、1年後には同作をブロードウェイで上演しました。現地の俳優から英語を指導してもらったのですが、英語だけでなく息遣いや演技の“間”も全て真似することで覚えたそうです。歌舞伎の芸は全て真似て覚えるものだといい、『だからブロードウェイで上演できたんだ!』と豪語していました」(劇場関係者)
還暦で1,000回、古希で1,200回を達成するなど松本の人生に深く結びついている同作。それを支えてきたのは妻だった。
16年3月、本誌に登場した松本は歌舞伎にミュージカルに大忙しの日々について「稽古やセリフを覚えていると、あっという間に時間がたってしまって夜が明けちゃうんですね」「翌日の劇場入りが朝早いと、寝なくちゃならない。『あと4時間くらいあったらなぁ』と思うんですよ」と明かしていた。
そんな松本に対して妻は「それがあなたに合ってるんじゃない?」と一言。いっぽうで「『1つの目標に2人で進んでいくのが好きだ』と言っているんですね」と妻の本心について松本は明かしていた。
「ラ・マンチャの男」を幾度も上演してきた松本。「そのこと自体はうれしいし自分の誇り」と前置きしながらも、こんな“反省の日々”についても明かしている。
「『その中にベストの舞台がいくつあったかな』と反省ばかりしています。舞台はお客様と役者とで作っていくもの。両者が盛り上がる瞬間は『あぁ役者をやっていてよかったなぁ』と心底思うのですが、そういう瞬間はほとんどない」
また「僕は歌舞伎も、それ以外の舞台やミュージカルも、とことん徹底してやってきました。ですから今日まで続いているんだと思うんです」と話し、「軽い気持ちでやっていたら、つぶれていた」とも回想していた。
前人未到の快挙は、妻と謙虚な俳優魂によって築かれたもののようだ。