「にっぽんの宝物」世界大会でグランプリに輝いた「車海老そば」=久米島町西銘 画像を見る

 

【久米島】久米島町特産の車エビを豪快に使ったそばが、海を越えて世界をうならせた。同町の飲食店「ゆくい処 笑島(わしま)」の名物料理「車海老そば」。このほどシンガポールで開かれた「にっぽんの宝物」世界大会でグランプリを獲得し、同町を訪れる観光客らの人気を博している。1杯1100円ながら1日に60杯を売り上げ、完売の日もしばしばあるという。

 

笑島は同町出身で、京都府の料亭で5年間腕を振るった島袋航弥さん(28)が2016年4月に開店させた。翌年、車海老そばをメニューに入れた。エビ、みそ、モヤシ、麺…全て久米島産を使用。「久米島の味は通用するのか試したい」と「にっぽんの宝物」大会に初出場した。

 

今年5月の沖縄大会を2位で通過し、7月の日本大会でグランプリを獲得。世界大会は9月にシンガポールで開かれた。島袋さんは町民から旅費のカンパを受けて出場。現地のシェフとコラボしながら、「久米島の味を見せつける」と、店で出しているままの車海老そばを作った。

 

審査員を務めた世界的バイヤーらは「どうしてこんなにエビの味がするのか」などと舌を巻き、車海老そばは六つの出品の中で堂々のグランプリに輝いた。「レシピを売ってもらえないか」「シンガポールへの出店はないのか」など問い合わせが相次いだが、島袋さんはこう言って断った。「この料理は久米島の自然の中で完成する。ぜひ島に食べに来てください」

 

島袋さんは「自信はあったが、久米島が世界に通用すると確認できてうれしかった」。大会の様子はテレビの全国放送でも取り上げられた。

 

一般営業は昼だけだが、今や1日に100人以上が来店する日もある。人気ナンバーワンは、もちろん車海老そばだ。島袋さんは「エビ好きは絶対好きになる」と胸を張る。

 

「久米島で子育てをしたい」と、24歳で古里に戻ってきた島袋さん。「人口は減っているが、久米島にはポテンシャルがある。おいしいものがあったら、観光客は来てくれる。島の盛り上げに貢献したい」と力を込めた。
(真崎裕史)

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